エクウステーション 2011年5月号

シン(以下シ):競馬ファンの皆様、こんばんは、シンです。
ノブ(以下ノ):まいど、ノブさんやで。
シ:さて、先日の予想会でお伝えした様に、春天目前での“名門牧場消滅”というニュースからお伝えしなくてはなりませんね。先月28日に、メジロ牧場が5月20日付けで解散し、馬主業務からも撤退するという発表がありました。
ノ:創設者の北野豊吉氏が、長距離血統に拘り、天皇盾を獲る事に心血を注いだとも言われる、日本屈指の名門牧場にして、“社台ブランド”の吉田善哉氏とともに、オーナーズブリーダーとしての地位を確立した牧場やっただけに、競馬での成績不振は、そのまま経営の危機を迎えかねんかったんや。
シ:そうですね。一時期は社台ファームからの支援で、何とか経営を立て直そうとやっていたのですが、やはり、短距離血統が主流になった現在の競馬界では、生き残れなかったという事で、多額の負債を抱える前に、清算する事を決意したとの事です。
ノ:やっぱ、一番痛かったのは、今回の震災で、特に関東以北での競馬開催が1ヶ月以上無かった事が大きかった…不可抗力やったとはいえ、世間の過剰な自粛ムードが、結果として“名門消滅”を早めてもうた…って事やねん。

シ:もちろん、二度にわたる有珠山噴火による被害にも遭い、決して順風な牧場経営ではなかったとは思いますが、それでも、メジロアサマ・メジロティターン・メジロマックイーンの“父子三代天皇賞制覇”という偉業を達成させ、また、メジロラモーヌによる日本競馬史上初となる“牝馬三冠”を成し遂げた事は、古くからの競馬ファンであれば、誰でもが御存知かと思います。
ノ:そや…ただ、オーナーズブリーダー故に、競馬に勝つ事以外での収入が無い事が、経営を悪化させた…っちゅうのは、何とも寂しいばかりや。もちろん、血統面での見直しや、所有馬の売却等で収入を得る方法もあったんやろうけど、そういった事を一切せず、ただ、自家生産にこだわり、頑に経営してきたからこそ、最後まで“誰にも迷惑をかけない方法”を模索したんやろう。そやさかい、この決断は、オーナー自身も相当勇気が必要やったと思うで。
シ:そうですね…続いても、悲しいニュースです。短距離界の人気種牡馬であった、93・94年のスプリンターズSの覇者、サクラバクシンオーが4月30日に、心不全で亡くなりました。
ノ:おや、バクシンオーといえば、今週のNHKマイルCに出走予定になってるグランプリボスの父やんか…ほな、貴重な“後継種牡馬”候補っちゅう訳やな。
シ:結果次第では、そうなるかもしれませんね。今シーズンも既に80頭程種付を終了していたのですが、4月中旬から体調を崩して休養していた…との事です。
ノ:現役時代のバクシンオーといえば、血統だけ見ればクラシックディスタンス(中・長距離)向けっぽいんやけど、1800m以上の距離ではアカンタレやのに、1400m以下やとものすごい強かったんや。ほんで、産駒もその傾向が強いさかい、マイル路線までなら、父譲りの強さを発揮できるんや。
シ:惜しい馬を、また亡くしましたね…続いての話題は、福島競馬に関する情報です。既にご存知に方も多いでしょうが、現時点では第2回開催分も中止…という事が決定しております。
ノ:今回の東日本大震災、および福島第一原発での事故の影響で、施設面ではスタンドの一部等が損傷し、また、被災者の受け入れの関係もあって、とてもやないけど、通常どおりの競馬を開催する事が出来へん状況が続いとるねん。同じ様な事情で、岩手県の水沢競馬場でも競馬開催が出来ひんさかい、こっちはこのままやと、存続できへんかもしれへんねん。
シ:そうですね…岩手県競馬では、比較的無事だった盛岡競馬場での開催に絞って、5月14日から開催されますが、単年での黒字を存続の条件としている状況下では、経営そのものが非常に厳しいですね。ただ、JRAや全国の地方競馬関係者から開催に当たっての支援があって、また、競馬関係者や企業からの協力を取り付けて、何とか盛岡での開催にこぎ着けたとの事です。
ノ:現時点では、福島の代替は、今開催分は小倉と新潟でやる事になったんやけど、問題は夏のメイン扱いでの開催分や。今の時点では東京で…ってのが有力やろうけど、あそこ自身が東電の管轄やさかい、電力不足で巨大ターフビジョンかて、真ん中の部分だけしか使えん状況や。しかも、中京かて現在、全面的に工事中やさかい、代替そのものが出来ひんのや。その分の負担が小倉の芝生に出てもうて、次の開催までに修復せんなアカン…ホンマ、今回の震災はいろんなトコに影響出過ぎやねん。
シ:ともかく、今年中に復旧できるかどうかは微妙かもしれませんが、開催される事が決まれば、馬好きの福島県民にとって、大きな復興への第一歩になると思います。

という訳で、今月はこの辺で失礼いたします。
ノ:ほな、またな。 ﾉｼ