節電よりも、経済活動ですか？

昨日のニュースで、関電がユーザー全員に15%の節電を呼びかけた為に、関西の鉄道各社が対応に追われている。無理もない、電車の運転本数を間引く事は、利用客に迷惑をかける行為であると共に、余計に利用客が減り存続が危うくなる路線も出てくる。当然、沿線住民の…特に高齢者の交通手段を奪うのと同意である。しかし、鉄道会社よりも、もっと事が深刻になる業種がある。そう、零細企業の町工場がそんな事を行えば、取引先の受注を断らざる得なくなるだけじゃなく、場合によっては取引そのものがなくなってしまう危険性がある。まさしく死活問題である。

脱原発を求めるのは大いに結構だが、それは、今みたいな非常事態の時では遅過ぎる訳であり、日頃からエネルギー問題に関して考えていない様では、却って自分の生活を脅かす事になりかねん。今年の夏が、去年以上に暑いと予測されるが、オイラはそんな感じがしない。なぜなら、関東以北の産業が止まっている…16年前の神戸・阪神エリアの工業地帯が震災で、殆ど操業停止状態だった時と同じで、機械が動かない…地場産業が被災で停止したままなら、その分の熱量が減るから、気温そのものは上がらないと予測できるからである。そして、この異常気象とも言える状況下では、真夏日そのものも少ないだろうし、熱帯夜も少ないと考えられる。
つまり、過剰な節電は却って経済復興の足枷になりかねず、最悪は東北3県が復興しないまま年を越える事になる。件のニュース番組で、インタビューに答えた町工場の親父曰く、「停電なら取引先も納得してくれるが、節電で納期が遅れるとなると、どんなに説明しても理解してもらえない…」である。その事を知った上でデモをやってくれるならともかく、ただ単純に“子どものため”と言ってる様では、本末転倒。自分の収入が無いのに、どうやって子どもを、そして家族を養えるんでしょう？
確かに、原発は事故れば途方もない犠牲が出るのはわかるが、逆を言えば、それだけ分のエネルギーが使える訳であり、その取扱いさえ慎重にやってくれていたなら、誰も文句は言えなかった。ただそれだけの話なのだが、現実に(震災と津波がそもそもの原因とはいえ)事故を起こした上に、自分達の都合だけで肝心の情報を隠蔽した以上、誰もが東電以外の電力会社を疑うのは当然であり、だからといって他の電力会社が自分に対するクレームに怯えてやっている様では、却ってマイナスイメージにしかならない。大切なのは、互いの信頼関係をどうやって構築し直すかであり、双方が罵り合って共倒れでは、今なら改善もできる状況なのに、更に悪化するのを待っている様にしか見えない。