迷馬の隠れ家 はてな本館

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マーティの真面目にプライオリティー 2012年11月号(癌とともに生きる〜知っておきたい中皮腫の話〜)



30日午後10時18分、肺炎のため兵庫県西宮市内の病院で亡くなった直木賞作家で脚本家の藤本義一(ふじもと・ぎいち、本名・よしかず)さんは昨春ごろから、肺の中皮腫を発症していたことが31日、分かった。エッセイストでタレントの妻・統紀子(ときこ)さん(78)によると、藤本さんは抗がん剤治療を拒否し、通院で投薬治療などを続けていたが、約1か月前に自宅で倒れ、入院していた。(中略)昨年4月の検査で肺の中皮腫が発覚した。中皮腫アスベスト石綿)が原因であることが多く、統紀子さんは「昔、撮影所とかでアスベストを吸い込んでいたのかもしれない」と話した。一方、抗がん剤治療は、藤本さんが年齢や副作用などを考慮し「使いたくない」と断った。自身が主宰する社会貢献活動などを続けるためでもあった。
(以下略:by 報知新聞10月31日付)
マーティ(以下テ):ども、マーティです。今月は…ま、上記の通り、藤本さんを偲ぶ意味合いも込めて、中皮腫について、少しだけ解説しようかと思います。
ハルトラ(以下ハ):黄虎のハルトラや…いや、ホンマに惜しい人を亡くしたなぁ…ワイも生前、ちょくちょくお世話になったさかい、いろんな話が尽きへんのやけど…で、エラい厄介な事になっとったんやな。中皮腫って、確か…石綿(アスベスト)を吸い込んでなるヤツやろ?
テ:今回はがん情報サービスの資料を使って、解説していこうと思ってます。
ハ:ほな、詳しい事は、そこで調べればわかるって事やな?
テ:専門用語が多いので、普通に読むだけでは…
ハ:そうなん?

テ:先程、ハルさんがおっしゃった通り、基本的に中皮腫アスベストの吸引によって引き起こされる癌の一種で、主に肺付近の胸膜を覆う中皮と呼ばれる部位に発症するモノを指します。
ハ:ちょっとタンマ、それやと、どこを意味してるか、さっぱりわからんで。
テ:簡単に説明すると、全ての内蔵は、腔内…つまり腹部の空洞に入ってますよね。その中でも、互いの臓器がぶつかり合わない様に大雑把に区切ってる膜があって、更にそれらを保護する役割の皮が張ってあるんです。
ハ:その“膜”ってのは、弁当箱でいうトコのバランやプラカップみたいなモンか?
テ:たとえとして適切かどうかはさておき、大体、そんな感じだと思ってくださいw 一般的に解り易い部位で言えば、横隔膜もそのひとつです。
ハ:あ、ホルモンでいうトコのハラミの事やなw
テ:あの…焼肉屋じゃないんですが…
ハ:で、そのハラミのまわりにある網脂みたいなモンが、中皮…ってヤツなんやろ?
テ:むしろ、その表面部分です、敢えて言うなら。
ハ:あ、なるほど…で、そんなトコが癌化するんかいな?
テ:そこを今から、解説するんです。
ハ:あ、了解…
テ:基本的に、塵肺(じんぱい)障害の一種として考えると、ここの部分に肺を介してアスベストが付着し、そのまま放置すると、癌化する…と捉えた方が解り易いかと思いますが、発症するまでの期間が非常に長く、また、吸引してた期間によっても、その発症まで時間が掛かるのが特徴です。
ハ:ほな、ぎょうさん吸っとったら、それだけ分発症しやすい病気って訳かいな?
テ:そうなりますね。しかも、この病気の厄介さは、アスベスト鉱石採掘者や取扱業者だけでなく、その家族やアスベストを吹き付けた建物を利用した者、そしてその周辺地域住民も罹患する…という“二次被害”がある点でしょう。
ハ:ちょい待ちや、それやと…70年代の殆どの建物が、防火対策や保温効果の一環としてアスベストを使とったさかい、殆どのトコで吸引してる可能性があるやないか!!
テ:はい、そうなんです…日本のコンクリート建築…特に公共施設では、ほぼ、殆どのところで使われていました。
ハ:…それやと、これから罹患者増える一方やないか!!
テ:待ってください…あくまでもアスベストを使った施設・設備は、現在では改築等の更新作業の際に除去され、一応、無害化しています。但し、実際には90年以降の話で、中皮腫アスベストによる“公害”と認定される以前に建てられた建築物や設備を未だに使っているからといって、ほぼ全員が罹患するとは限りません。また、あくまでアスベストを使う様になったのは高度成長期の頃であって、戦前より前の時代の建物や木造建築に限れば、そういった報告はありません。
ハ:そやけど…
テ:確かに…現時点でのデータによると、欧米では1970年代を境に罹患者が…特に男性で増加しましたが、日本ではそれより40年遅れとなっている様ですから、今後罹患者が増えるでしょう。しかし、それだからと言って悲観する様な病気でもないんです。
ハ:へ、そうなん?
テ:実は、発症までに最短でも20年、平均で40年以上経たないとわからない病気であり、また、基本的に他の臓器へ転移する様なモノではありません。また、大概は胸部X線検診で見つかるモノであり、治療に関しても局部的で良性腫瘍ならその部分だけを切り取る外科手術で治せます。しかし…
ハ:その腫瘍が大きかったり、広範囲に散っているのが殆どで、どうする事もできんのやろ?
テ:そうなんです。ただ…それが発覚するのは腹部にメスを入れた時…なんです。
ハ:ほな…いろんな意味で絶望的やないか。
テ:とはいえ…先程も言いましたが、発症までに40年以上掛かる為、実際に罹患するのは、現時点では60歳以上が殆ど…つまり、1970年代において、何らかの経緯でアスベストを、しかも長期に吸引していない限り発症する様な事はありません。それと、広範囲に散った状態…いわゆる“びまん性”と診断されても、他の癌と同様に放射線抗癌剤による治療で、その進行をある程度抑える事はできます。ただ、他の癌がある場合、中皮腫が原因なのかどうかを調べないといけませんが…
ハ:そやけど…藤本はんは、それを拒否された…やっぱ、長期間の“薬漬け”っちゅうのがイヤやったんやろうな。
テ:年齢的な事や、やるべき仕事があったからこそ、多分…余計な延命を望まなかったのだと思いますね。
ハ:ワイやウィニーなんかの最期を見とるさかい、余計にそう思たんやろうな…
テ:ボクも…その範疇にあると思いますね。


という訳で、今月はここまでにします。お相手はボク、マーティと…
ハ:黄虎のハルでした。ほな、失礼…