迷馬の隠れ家 はてな本館

旅好き・馬ぐるみゃー・オジアナヲタクな主婦の、雑多なコンテンツですw

発酵食品に防腐剤?!

Twitterの項目の中に、とんでもない飛ばし記事がある事がRTされていて、それに対する反論…つまり、事実無根を証明するネタが、いくつか掲載されていた。その槍玉に挙がってるのは…ズバリ、日本酒。恐らく、元記事を書いた記者は、本物の日本酒を飲んだ事もなければ、発酵食品そのものを食べた事がないのかもしれない。何故なら、日本酒に限らず、大凡の酒類は“発酵飲料”であって、原材料が防腐剤を使ってる様な状態では製造できないって事を知らなさ過ぎる。まして、殆どのパンや、チーズ・ヨーグルトといった乳製品、納豆等も原材料となる小麦粉や牛乳、蒸した大豆に、それぞれの発酵に適した菌(イースト菌、ビフィブス菌、納豆菌…)を混ぜ込んで発酵させない事には、作る事ができない代物である。では、なんでこんなバカげた話になるか?

記事を書いた人間の知能に関して、深くツッコミを入れるなら、恐らく反日感情から冷静さを欠いた事が全てであろう。まして、これが韓国系の記者であるなら、そのボケっぷりは自分の首を絞める事になりかねない。何故なら、キムチも発酵食品であると同時に、それを否定するのであれば、その味覚は、相当おかしい事になる。ま、一部の韓国産酒にも、とんでもない材料を使ってるという噂があるぐらいだから、そこは深くツッコまない事にしとくが…wそんなに日本の酒や食品が嫌なら、自分が選ばなきゃ良いだけの話だ。商店で売られている食材を選ぶ時でもそうだが、仕入れ担当の目利きを信ずるかどうかで取引をするから成り立つのであって、それを選ぶのは顧客の責任である。故に、食品偽装をやったとしても、サービスそのものが悪い訳じゃないなら、利用するしないは、別の判断だとも言える。故に、食材を拘るのであれば、自分の土地で、全てを賄う様にすれば良いだけの話。農家の場合、農作物に関して言えば、それができなくもないからこそ言えるが、都会で、農地を有さない人々にとっては、商店のバイヤーが“窓口”である以上、そこで嘘を付かれたら、何も食べられない。ここんトコがわかった上で、飲食店を叩くなら叩けばいいが、それを利用してる者が自分で料理を作る事ができないのであれば、あんまり贅沢を言ってはいけない。それこそ、産地直送の農作物や魚介類が欲しけりゃ、その産地まで自ら足を運んで食すのがスジであって、ましてインターネット通販でお取り寄せなんて、言語道断。本物のグルメを称するなら、そこまでの“こだわり”を見せるべきである。
閑話休題。そもそも、発酵食品は、その製造過程において、他の雑菌類からの腐食を防ぐ為に、原材料となる食材に、一旦火を通す(あるいは、ある程度の水分を抜く為に塩漬けにしたり、天日に干す)のが普通である。日本酒の場合、酒米を一度蒸してから、麹室で日本酒の発酵に必要な麹菌を付着させ、そして培養してから水と一緒に樽に仕込んで、醸造するのが本来の作り方であり、この際に、他の菌が付着しない様にする為に、仕込みを担当する杜氏は、納豆やヨーグルト等、他の発酵食を一切食さない。それでも、時折換気不足や気温調節の失敗等が原因で、火落ち菌(枯草菌)が混じってしまって酸化する事がある。だから、完成後の日本酒は、出荷前に火入れをする事で酸化防止を行う手間が入る。この一手間を応用して、アルコール度数を高めて作る蒸留式を用いるのが、一般的なスピリッツ(高アルコール酒)であり、また、発酵しても果物の酸味が残るから、余計な添加物…酸化防止剤として、亜硫酸塩を入れないとマズいのが、ワインなのである。(もちろん、酸化防止剤を入れていないワインもあるが…)薬品臭い酒が出回ってるというのであれば、考えられるのは、店舗で回収し、メーカー等で再充填に用いてるボトルの消毒・洗浄に使われた薬品が、キチンと落としていなかった可能性が高い。特に欧米諸国では、使った食器を洗っても、洗剤を完全にすすぎ落とさずに、そのまま使う事も多いと聞く。そんな使い方をすれば、元々、臭い移りしやすい酒類が、余計に薬臭くなるのも無理はない。
第一、アルコール自身は、強い殺菌力を有してるのは、古の人達でもよくわかってた事で、平家物語等で、敵将の首を濁酒漬けにして、遠くまで運んだっていう記載がある程。つまり、日本酒の麹菌によるアルコール醸造が、他の酒よりも高濃度のアルコールを作れるかを物語ってる証左であり、他のスピリッツ系酒類が、蒸留をいう技術を用いない事には、一般的なビールよりもアルコール度数が低い事を意味する。事実、大麦麦芽を蒸してから仕込むビールの場合、その“酸化防止剤”としてホップが使われる訳であり、ホップを使わずに作ると、飲める様な代物にはならない。ワインに至っては、本来、ブドウ果実のブドウ糖を発酵させて作るんだが、糖度が足りない場合、糖分を補充してから仕込む場合がある。よって、ワインの製造年月日によって味がバラつくのは本来は当たり前であって、どの年のワインも同じ…って状態のは、そういう可能性が高い。もちろん、日本酒においても、特に吟醸酒の場合、醸造アルコールを添加して作る。但しそれはあくまで、火落ち菌による味の劣化を抑える目的であり、言い方を変えれば、水の代わりに日本酒で再仕込みしたのが“吟醸酒”ともいえる訳である。しかし、このアルコールの添加が上手くいってないと、本来の旨さが出ないどころか、却って薬品臭くなる…恐らく、デマを書いた人は、粋がって吟醸酒を頼んだは良いが、品質の悪いヤツを掴まされた可能性もある。
だから、発酵食品の大凡は、製造工程の際に、必ず煮沸消毒や洗浄が行われ、それから改めて、種菌や酒母が添加され、そして、滅菌済みのステンレスタンクや、チャー(木製の樽の内側を焼いて炭化させる事。ウィスキーの醸造に必要な行程)済みの樽に仕込む。当然だが、本格的な味噌等をを作る木樽も、始めに米糠の床を作って、防腐処理を行う。そこからでないと、味噌や醤油は作れない。素材の味を活かす為に、必要な防腐処理は、全て乳酸菌や青カビ、麹菌がやってくれる事を知っている先人達がいたから、今の食文化がある事を忘れないでもらいたい。同時に、食品に防腐剤を入れるのは、あくまで消費者の“ささやかな我侭”を企業努力の名の下でやっているだけであって、それで味が落ちただ健康を害したとか言い出したら、自分が少し考え方を変えない事には、同じ過ちを繰り返すだけである。ま、何でもかんでも、自分自身で全部作り始めたら、既製品を食べる事自体がバカバカしくなるんだけど…作るのがしんどいからこそ、既製品を使うのであって、そこで贅沢を言うのであれば、それこそ“もったいないオバケ”が出てくるぞw