迷馬の隠れ家 はてな本館

旅好き・馬ぐるみゃー・オジアナヲタクな主婦の、雑多なコンテンツですw

本当の復興は、道半ば…〜Shin's Bar 臨時営業〜

しあわせ運べるように

しあわせ運べるように

シン(以下シ):こんばんは…“あれ、今週はマーグさんの企画じゃないのかって?”思われた方も多いでしょうが、今日は1.17…1995年、淡路島にある野島断層を震源とする、阪神・淡路大震災から19年経過しました。そこで、今日は俺が担当している“Shin's Bar"から、お届けする事になりました。
ハルトラ(以下ハ):せやなぁ…毎年、この時期になると、関西のマスメディアは、挙って神戸の話をするもんなぁ。
ギィ(以下ギ):関連死も含めると、7000人近い人が、あの震災で亡くなった…東日本大震災と比較すれば、大した数には思えないだろうが、都市直下型地震としては、大規模な被害を受けたのは、事実だからな…19年も経過したのか、あれから。
シ:俺も、当時は東灘区に住んでいたので、その惨状は、長田区や兵庫区程ではないと言えど、悲惨なモノでした。
ギ:僕も自宅が西宮にあるんでね…シンが言わんとする事は、わからなくはないね。
ハ:ワイは既に鬼籍やったさかい、その時の惨状は知らないんだが、淀川以北、武庫川以西が交通網が寸断されてもうて、救援物資も、重機搬入もままならんかったんやて?
シ:阪神高速3号神戸線が深江〜魚崎付近で倒壊し、5号湾岸線も西宮浜で橋梁が落下する状態でしたからね。元々、阪神間…特に灘五郷と言われるエリアは、地下水が豊富な分地盤が弱く、特に埋立地である六甲アイランドポートアイランドでは、液状化による地盤沈下が起きましたから…
ギ:長田や新開地は、古くからの木造住宅も多かったから、そして、河川が殆どない地域やったから、火の手が上がれば、ひとたまりもなかった…今でも、あの光景の映像を見る度に、背筋が寒くなる。
シ:あの経験があったからこそ、関西のラジオ局は、災害時の取り決めとして、使える放送機材は緊急時、放送局に関係無く共有する協定が作られたんです。願わくは、こんな事は、ない方がいいのですが…
ハ:けど…それがあったさかい、3.11の時、東北では災害コミュニティーFMが、期間限定で開局できたんやろ?
ギ:いや…元々はCRKがやっとった事や。兵庫県下のコミュニティーFMは、その殆どがCRKと提携を結んどって、情報の共有をやってるんや。その方法を、東北の被災地でもやった訳や。今では、地元の情報源として活用されとるトコもある…が、電波法の都合で、一部を除いて、廃局になってな…
ハ:もったいないなぁ…
ギ:仕方ないよ…神戸や大阪と違うて、人口が少ない上に産業が乏しい地域やと、スポンサーを募る事も容易ではないし、まして、機材の維持にコストが掛かる…それに、番組を担当する者が全員、ボランティアでやれる様なモンやないやろ?
シ:そうですよね…他の地域コミュニティー局が相次いで廃局になる事情も、結局は放送局として維持する為のコストは、普通のラジオ局並みに掛かりますからね。
ギ:ひとつひとつの機材は中古でも使えるし、今はパソコンを使った方法での編集や放送配信もできるから、放送形式に拘らなければ、初期投資の分は抑えられるが…そこから先が難しいな。
シ:話は変わりますが、地域の災害からの復興は、この19年でできたと思いますか?
ギ:いや…むしろ、これは“復興”とは言えないな。
シ:と、いいますと?
ギ:まず、壊滅的な状態になった新長田駅周辺は、完全にドサクサ紛れに再開発をやった様なモノだからな。むしろ、余計に寂れたのは、それ故の話だと思うよ。逆に、あの震災を逃れた建物が、ここに来て歴史的価値を見出した若者達の間で人気が出ている。皮肉な話だが、復興という名の“再開発”は、結局、地域の復興とは結びつきにくくなるという事だろう。
ハ:そうなると、津波で流されてもうて、しかも移転を余儀なくされたトコなんて、余計に寂れるって事やんか。
ギ:そうならない為にも、本当は、“新しく街を作る”為の開発と割り切るか、震災の傷跡も“歴史の一部”として受け入れるか…同じ過ちを繰り返しても、そこに住み続けたいという思いは、その地域に、独特の魅力があるからこそ、どんなに傷付いても、必ず賑わいは戻せる。その為の支援をする上で、防災や減災を優先にするにも、肝心なのは、この惨状から目を背けない勇気ではなかろうか。
ハ:せやな…どんなに取り繕うたって、元に戻らないなら、割り切るしかあらへん。そやけど、だからと言って“過去の事”として震災を忘れたらアカン。地元の…かつて、そこで生活しとったモンの想いを引き継ぐのか、消し去った上で新しい歴史を刻むのかは勝手でも、ほんまの意味での“復興”ってのは、単に賑わいが戻る事やのうて、街の、地域の“歴史”として語り継いでこそなんや。
シ:そういう意味では、新長田駅周辺の再開発は、ある意味“失敗”だったのかもしれませんね…でも、その“教訓”を活かせるのであれば、決して無駄ではない。そういう事ですよね?
ギ:そや…これは、忘れてはいけない事。反対に、戦争での恨みや妬みは、いつまでも引き摺ってはいけない事…その分け隔てができてこそ、正しく歴史を学んだ事になるんや。
ハ:個人的な事をネチネチ言ってる様では、未来は暗いままや。歴史はみんなで紡ぐモノ…喜びも悲しみも、全てひとつの“思い出”や。それを分かち合えてこそ、初めてその地域の“歴史”になってくんや。
シ:では、今夜はこの震災で亡くなられた人達への献杯を兼ねて…スコッチとドランブイを2:1で合わせて、オールドファッショングラスに注ぐ、ラスティネイルをサーブさせてもらいます。
ギ:そう来たか…いただこう。
ハ:ほな、ワイも…