迷馬の隠れ家 はてな本館

旅好き・馬ぐるみゃー・オジアナヲタクな主婦の、雑多なコンテンツですw

深夜食堂“ふらっとりばー”2018 一皿目

マーグ(以下グ):さて…鏡開きも済んで、これから通常モードって人も多いんじゃね?さっきマスターも、鏡餅…つっても、市販の中身が小分けになってるアレを、雑煮にして食ってたな。マスターが住んでる奈良県内では、雑煮の餅を、どういう訳か、きな粉をまぶして食う習慣があるんだってよ。ま…香川県だとあん入り餅が鉄板だし、島根県だと完全にぜんざいっぽくなるんだよなぁ…あ、これって、食文化の違いであって、他県の雑煮が“常識外れ”って訳じゃねんだ。むしろ、多彩な調理法があるからこそ、面白いんだよな。
(ガラガラ…)
っと、いらっしゃい。
チセ(以下チ):はぁーい、ご無沙汰してるわね…今日のオススメは何?
グ:そうだな…アゴ出汁の効いたしっぽくうどんってのはどうだ?本来は香川の郷土料理で、通常の讃岐うどん同様に煮干しを効かせた出汁に、鶏肉や根菜類、豆腐をブチこんで作るんだが、そこを敢えて、長崎風に味を変えたのを供しようじゃねぇか。
エルハ(以下エ):え…“アゴ”って何?まさか、鶏のくちばしとか?
グ:あのなぁ…“アゴ”ってのはトビウオのこと。長崎…特に平戸や五島列島だと、焼き干ししたトビウオで出汁を取って、すまし汁や麺類の調理に使うのが一般的なんだよ。マスターのお袋さんも、長崎出身なモンだからさ、煮干しよりもこっちの方が性に合ってるらしいんだよな。
エ:あら…そうなのね! これは知らなかったわ…
グ:煮干しは結構好き嫌いが出やすいけど、アゴは臭みが少なく、だけど、しっかりした味になる…だから、魚介系ラーメンを供する店でも、煮干しにするかアゴにするかで、味のクセが変わるんだよ。
チ:ところで…話変わるけど、成人の日に、とあるレンタル衣装会社が、顧客から預かった晴れ着や注文した振袖を、当日に持ってこないだけでなく夜逃げ同然で姿をくらまして、一部の新成人に被害が出たんだけど、これってどう思う?
エ:“ハレの日”を祝う式典のために、せっかく準備したモノを“盗んだ”って話でしょ?
チ:そうそう…式典そのものは、平装でも参加できるモノであっても、“成人”として祝ってもらう席は、一度きりだからこそ、気合い入れて振袖で…って考える人も多いのに、その思いを踏みにじる行為よね、これって。
グ:そこな…それをわかってない連中が多いね。“ハレの日”ってのは、生涯において節目であると同時に、盛大に祝ってもらうための日。冠婚葬祭の中でも、七五三や結婚式同様に、江戸時代までの風習である“元服”の儀を、現代に当て嵌めたのが“成人式”という儀礼だ。そもそも“元服”ってのは、世間から“成人”として認められ、社会的責任を担う立場になったことを示す場であり、だからこそ、子供じみた習慣からの脱却と、親として立派に育て上げた我が子へ対する今後への期待を込めて、盛大に祝ってやるしきたりが、今日まで続いてる訳だ。
エ:だからこそ、晴れ着としての振袖がある訳だし、あれを着る事ができるのは、本当にこういう場以外はないのにね…でも、なんで件の会社は、そんな“裏切り行為”をやったのかしら?
グ:単なる“経営難”であるなら、契約客に対して事情説明したのち、金品(この場合は衣装代と着付け料)の返却をやるか、預けてある衣装は返却して当然の話だが…そうじゃない時点で、最初から詐欺をする目的で“倒産”してるなら、もってのほかな話だぜ。
チ:そうよね…しかもネットオークションに横流ししてるって情報もあるから、用意周到に、しかも相手が“子供”と見下してやってる以上、許せないわよ。
グ:こういうのでケチがつくと、たとえ様々なフォローを受ける事ができたとしても、ゲンが悪いよな…まして、成人式ってのは、一生に一度きりの“晴れ舞台”の場だ。それを台無しにするって、どういう神経だって言いたいね。
チ:特に振袖って、結構高価な上に、いざ着るとなると一人では着る事ができない、特別な着物なのよね…浴衣や普段使いできる留袖、訪問着と違って、元々“飾り立てる”ために作られているから、帯の締め方一つでも、特殊な締め方をするのが振袖の特徴なのよ。
エ:そうよね…普段から着物をお召しになる人でも、それは“普段着”としての着付け方であって、礼服としての着付けじゃないもの。喪服はともかく、“ハレの日”のための装いである以上は、普段通りの帯の締め方じゃ失礼になるもの…だから、煌びやかな帯や帯留がある訳だし、飾り締めは、自分ではできないわよ…前で結んでも、それを後ろに回す時に崩れるから。
チ:そうそう…だから、着付け師が必要なのよ。特に、振袖を着る場合はね。
グ:アレ、締めるのに結構体力がいるみたいだよな…
エ:本来、振袖を着付けるのは、男手の方がしっかりできるモノなのよ…だから、昔の美容院とかには着物の着付けもやってたトコがあったけど、高齢化で体力的に帯締めができなくなったから、廃業せざる得なかった女性の美容師も多いのよ。
グ:男でも、剣道や弓道とかの経験者でも、普段使いで着こなしてる訳じゃねぇから、和装となると自分で着る事ができないからなぁ…落語家ならともかく。