迷馬の隠れ家 はてな本館

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鉄道の今後を考える…公共交通機関の“あるべき姿”とは

先に結論ありきな話は、今回の場合はやるべきではないのだが…ただ言えることは、公共交通機関は全般的に、“民営だけ”では経営が不可能だということと、だからと言って“公営”でやるには税負担の問題で衝突する可能性もあるという事だ。前者に関して正確に言えば、交通輸送部門のみでの運営は、旅客だけでも、貨物輸送のみでも、必ず“破綻”するという事。後者に関しては、沿線住民の“相互理解”が不可欠であって、そこんトコがうまくいってない限り、どんなに話し合いの場を設けたとしても“時間の無駄”になる。

 

では、日本の鉄道網…一般的にJRグループの路線は、如何にして全国に路線網を持つことができたかという根幹的な事を言えば、普通の人であれば、教科書通りの答えしか理解できないかと思うが、鉄道の歴史に造詣が深いヲタクであれば、結構鋭い視点で理解可能かと思う…というのも、国鉄時代からある“赤字ローカル線”と称して廃止対象になってる多くの地方路線は、その実は元々、資源鉱山や山林、工業生産の拠点と主要都市を結ぶ民営の物流用軽便鉄道が国に買い上げられた路線であり、また、周辺住民も通勤や買出しなどで利用することも多かったから、旅客も取り扱うようになっただけの話であり、元来の目的は貨客兼営こそが望ましい運用形態なのであり、むしろ“本業”は貨物輸送全般の定期運行であった訳である。

 

だから、昔…そう今から45年ほど前までは、殆どの貨物輸送は、国鉄による貨物列車による陸送が一般的であり、故に北海道や四国、沖縄への輸送は、本州よりも時間がかかった訳である。これをどうにかするために考えられたのが、本四連絡橋と青函トンネルの建設であり、そのきっかけこそが、洞爺丸台風という“自然災害”による交通障害である…洞爺丸台風の件は以前解説したんで割愛するが、瀬戸内の場合、別の理由があって瀬戸大橋や明石海峡大橋などが造られた訳である。それは、狭い内海での船舶の往来が頻繁で、連絡船の本数を増やせない事情があったのと、地盤的にトンネルを掘削するには軟弱なトコがあって難航が予想されたからである。

 

それはさておき、大都市圏を走る民間鉄道の多くはどうだったかと言えば、実は法律の“抜け道”を逆手に取って敷設されたモノが殆どで、関西の大手私鉄のうち、“鉄道法”に基づいて敷設されたのは、現在でいうトコの南海と近鉄南大阪線系統(吉野線とか道明寺線、長野線など)であって、それ以外は元々、“軌道法”という別の法律によって“路面電車”として開業してる訳である。つまり、阪急や阪神、京阪、近鉄の基幹路線(大阪線奈良線など)は、元々は阪堺同様にチンチン電車として運用してた訳であり、のちに沿線開発などが進んで、利用客が増えた事を受けて高規格鉄道に“格上げ”して運用してる訳である。(今年民営化した大阪メトロも、御堂筋線以外はほぼ、大阪市営時代に開業した路面電車路線が地下鉄に移行しただけの話で、その理由は、戦後のモータリゼーション化における交通麻痺を解消する狙いがあった。)

 

ただ…路線網が大きくなればなるほど、その沿線の開発は、利用客増加に不可欠であったからこそ、いわゆる“阪急モデル”と言われる都市開発事業が、民営鉄道の肝となり、故に各鉄道会社による沿線地域の宅地開発が盛んに行われた訳である。それができなかったのが国鉄…つまりJR各社の“弱点”だった訳である。そもそもは、“官営事業”として物流を国で一括管理しようという名目で、多くの民間運営の貨物路線を税収で買い上げ、ついでで旅客も扱ってた訳だから、本筋であれば沿線開発のメインは官営工場や官営鉱山の物資輸送のための周辺整備に集約されてた訳であり、だから、路線によっては一駅あたりの区間距離が、都市部でも徒歩では30分以上かかるトコがある訳である。

 

だからJR東日本は、分割民営化後に真っ先に取り組んだのが、新幹線沿線地域の都市開発であり、それが功を奏したから、さらなる開発が進んでる訳であり、東日本大震災からの復旧が、福島県内以外早かったのは、潤沢な資金が賄えるだけの収益があったからこそである。(福島の常磐線が遅れているのは、原発事故の影響…)更にJR九州が“三島(僻地)3社”の中で東証上場を果たせたのは、観光列車に特化したことよりも、福岡県内を中心とした沿線開発に着手したことが大きく、九州新幹線(熊本ルート)開業によって、今まで以上に熊本市が福岡市への“通勤圏内”に入ったことも大きい。しかし、JR北海道や四国には、そういった開発ができる主要都市や産業が乏しく、かつ、鉄道よりも高速道路によるトラック輸送の方が早いこともあって、鉄道網そのものがボロボロで、いつ“全線廃止”してもおかしくない状態である。(北海道は辛うじて、新幹線の札幌延伸という希望が残っているが、四国への新幹線乗り入れ計画自体、今の段階では立ち消え状態…)

 

 以上のことを踏まえると、今後、鉄道事業者の多くは、本業であるハズの鉄道事業よりも、不動産や飲食店などの多角経営で本業を支えるスタイル…先程も出てきた“阪急モデル”を踏襲した経営ができるかどうかが、生き残りをかけた経営方針になっていくと思う。その一環として、子育て支援も含めた福祉関連事業と、団塊世代が高齢化した事による“多死時代”となるからこその冠婚葬祭…特に葬儀関連事業に重点を置けるかどうかで今後の見通しが立つと思われる。だが、それはあくまで“企業経営”としての部分であって、本業を疎かにしてる様な鉄道会社は、いずれ“公共交通機関”としての体裁が保てなくなって廃業するでしょう…そうならない様に運営をしていくには、沿線自治体や国の助成は不可欠になるでしょう。それを“財政危機”とか“税収不足”を理由に行えないなら、交通インフラ崩壊による共倒れは、待った無しです。