迷馬の隠れ家 はてな本館

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“N・U”のセリフで引用された“御書”の話。

ここんとこ、金銭トラブル系のニュースが頻繁に報じられている。また、ちょっとした気の弛みから信用を損なうトラブルが絶えない。今回取り上げる“御書”の範囲にも、そんな現代社会を皮肉った様な言葉が書かれている。
で、よく見てもらうとわかるが、今回のカテゴリーに“あどランアーカイブ”があるのは、以前紹介した時代劇での話とリンクしてるからである。てのも、“N・U”という話の中で、ラスト付近でこんなセリフが出てるからである。

“蔵の財(たから)より、心の財(たから)”
この言葉はおそらく、“崇峻(すしゅん)天皇御書”の一文を引用したと思われます。
本題に入る前に、ちょっとトリビアをひとつ。医学用語に“帝王切開”って言葉があるが、この語源はおそらく、今回の“御書”のタイトルにもなっている崇峻天皇が関係あると思われる。てのも、この方は、歴代の天皇の中でもかなりの“暴君”だったらしく、なんでも臣下の言葉を信じなかったが為に、(現代の様な医療技術もないのに)自分の子を孕ませた妃の腹を捌いて赤子を採り上げたとか。

元々この“御書”は、初期の頃からの信徒であった四条金吾という武士がいて、この人がくれた供物に対する返礼と、その供物に添えられていた近況に対する指導が書かれた御文である。で、結構正義感が強く、それ故に“性根の曲がった事は大嫌い”だったがため、たとえ上司といえども“おかしい”と感じた事を速攻で指摘する程の人物だったそうな。そんなモンだから、時々上司に逆らった(という讒言に対して反論した)として干される事もしばしば…。そんな彼に対して、耐え忍ぶ事も大切と指導したのがこの“御書”である。
で、さっき出てきた言葉“蔵の財〜”だが、“御書”での正確な書かれ方は、“蔵の財よりも身の財すぐれたり身の財より心の財第一なり”となっている。
“蔵の財”とは、物質的な豊かさや金銭を意味する事で、“身の財”とは身体が健康である事、そして“心の財”とは真心…つまり人を思いやる精神とそれに伴う振る舞いである。いくら金銭的に豊かでも、病気や怪我で動けないんじゃ無意味だし、いくら五体満足でも、思いやりがないなら単なる“体力バカ”である。
もっと深い意味をいえば、どんなに他人より豊かでも、我欲に負けてる様な状況だと、あらゆる意味で散財し、いつかはその財は枯渇する。ならば、体力勝負でボランティア活動をしたり、仕事や勉学に励む方が得である。が、だからといって、そこで驕れたりエラそうにふんぞり返ってると、そのしっぺ返しで怪我をしたり信用をなくす。だから素直な気持ちで信心に励み、それに伴う活動をしなさいという訳だ。
他人を思いやる気持ち…最近のニュースで報じられる事件の背景には、そういった“心の財”を散財してしまったが故の悲劇が多い様に思えるのは、オイラだけだろうか?