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まじプラ増刊 脳死と臓器移植を考える その3

こんにちは、マーティです。今週もこのテーマでお届けします。どうぞ、お付き合いください。
さて、先週の予告通り、今回は海外での脳死と臓器移植に関する話です。今回はトランスプラント・コミュニケーションというサイトで紹介されている資料を参考に、話を進めていきます。
よく、『◯◯ちゃんを救う会』等という名目で、海外での移植を希望する患者家族の募金活動が報じられていますが、海外で移植手術を受けようという理由には、特に欧米において脳死は医学的根拠に基づいた“人の死”として、法律で定められているからです。特にスウェーデンでは、中絶胎児からの臓器(組織)移植も法律で認められているため、未成年…特に乳幼児の臓器移植待機患者を持つ家族が、必要経費を捻出するために、募金を呼びかけている訳です。また、海外では医療費は原則、全額実費で支払わなければいけないため、膨大な出費が伴うのです。(後日、日本で手続きする事で、掛かった医療費の7割が還付される事はありますが…国によっては適用されない場合もあります。)

しかし、現実には移植に必要なドナーの数が不足していて、尚かつ国によっては自国民優先(シンガポールでは、法律で、国民と永住権所得者以外は、移植を受けられないという規定があります。)というところもあるため、海外に渡航したからといって、移植を受けられるとは限りません。そのため、一部の国では未だに、“臓器売買”という犯罪行為が後を絶たないそうです。また、台湾では一時、死刑が確定された被告に対し、ドナーになってもらう事に同意した場合に限り、銃殺、又は薬殺で人為的に脳死状態にして、移植のための臓器摘出を行っていました。(現在では、死刑そのものが行われていないため、こういった事は発生していない。)
また、ドナー不足の理由として、HIV(エイズウィルス)やC型肝炎ウィルス保有者や、がん細胞を抱えている方が多い事、薬物中毒(依存症)等、臓器移植に適さない脳死者がいるためです。また、欧米諸国でも、子供の脳死判定は難しく、さらに宗教的倫理から臓器移植そのものに反対する意見もあるからです。このため、ドナーとして適合していても、移植できないケースがあるのです。
更に、このドナー不足が原因で、実際は脳死ではない状態(植物人間状態等)なのに、移植を待つ医師によって勝手に“脳死”と判断するといったケースが、一部の国では頻発しているようです。(よくいう、“脳死から生還した例”で挙げられる“根拠”です。)本来は、そのような事になってはいけないため、法律で移植チームの医師は、脳死判定に関わってはいけないとされているのですが、実際問題として、医師の焦りからこのような“誤診”が行われ、それが移植反対派の根拠に使われる事になるのです。
もちろん、移植医療に関わる医師の中にも、臓器移植や脳死判定に異議を唱える方はいらっしゃいます。特に、臓器移植に関しては、本来ある自然の摂理に反する事であって、とても医療行為として認める事はできないという意見もあります。しかし一方で、脳死状態の人間と移植を待つ患者を救うには、この方法しかないという意見もあり、それを支持する声もあるのです。もちろん、宗教概念に則り、脳死での臓器提供に関して“最後の慈善”として認めている宗教団体もあります。(それに託つけて、某国では一部の政治犯は銃殺して、臓器摘出を行ったという“デマ”があった様ですが…。)
では次回は、臓器移植反対派に対して“朗報”ともいえる、“臓器移植の代替医療”の現状について、簡単にまとめてみようと思います。お相手は、マーティでした。