迷馬の隠れ家 はてな本館

旅好き・馬ぐるみゃー・オジアナヲタクな主婦の、雑多なコンテンツですw

エクウステーション 2010年1月号

シン(以下シ):競馬ファンの皆様、こんにちは。シンです。
ノブ(以下ノ):まいど、ノブさんやで。今年からこのコーナーに登場することになってん。よろしゅう頼むな。
シ:さて、今朝のスポーツ紙でも報じられている様に、2009年度のJRA年度代表馬に、2年連続でウオッカが選出されました。
ノ:確かに、牝馬の連覇は史上初の快挙やし、去年、G1を3勝してることが評価されてのことやねんけど、いかんせん、府中の馬場だけの戦績ってのは、ボク自身、好印象を持てないね。ただ、8歳で天皇賞・秋マイルCSを制したカンパニーが、満場一致で特別賞となったことは、ボクも同意やな。高齢馬でも条件さえ揃えば、G1タイトルホルダーにもなれるという実例ができた訳やし、クラシック戦線で故障しても、根気よく治療し調教を積めば、それに似合うだけの結果が残せるってことや。人生においてもそうやねんけど、苦労を惜しみ、ラクな方へ流れると、そこで夢って潰えるねん。そやさかい、この結果は、今の“派遣切り”とか“就職氷河期”とかで嘆いてる若者に対して、地道な努力をせいやというメッセージとして、見てほしいね。
シ:なお、最優秀3歳牡馬にはロジユニヴァース、3歳牝馬にはブエナビスタ、最優秀ダートにはエスポワールシチー、最優秀障害馬にはキングジョイが選出されてます。詳しい結果、および、記者投票の詳細につきましては、JRA公式サイトでご確認下さい。

さて、今回はノブさんが正式に加わっての初回ということで、ここから先は新企画、“おせーてKEIBA博士”のコーナーとして、進行します。
ノ:元々“競馬博士”ってのは、ボクの“生前さん”がかつて、現役の競馬実況アナだった頃に付けられたアダ名みたいなモンやねん。それをモジって、タイトルにしてるんやけど…とりあえず、一般的に使われる“競馬用語”ってのは、初心者にはわかりづらいモンやと思うねん。そこで、ちょいでもわかりやすうに、ボクが解説しようってのが、このコーナーのコンセプトやねん。
シ:このコーナーに関しては、質問も受け付けます。メールかコメント欄、あるいは掲示板(BBS)の方に、競馬に関する疑問・質問をドンドンお書き下さい。
ノ:ほな、今回は初回ということもあって、しかも今週末には“シンザン記念”ってレースがあるさかい、レース名の冠にもなってる、“五冠馬”シンザンについて、ちょっとだけ解説するで。
シ:シンザンは、父ヒンドスタン、母ハヤノボリの血統で、北海道・浦河の松橋牧場の生産馬。サラブレッドの最長寿記録である35歳3ヶ月11日は、現在も破られていません。
ノ:なんせ、戦後初で、セントライト以来の三冠馬である上に、秋の天皇賞有馬記念を勝った、日本競馬の八大競走のうち、5勝してるさかい、“五冠馬”と言われとるねん。そやけど、ホンマは“六冠”なんやけどなw
シ:確か、宝塚記念も制してますよね。
ノ:そやねん。ただ、これは牡牝クラシックと春秋の天皇賞有馬記念で構成される“八大競走”に含まれへんG1やさかい、そこだけ“除外”されてのカウントやねん。
シ:しかも、当時の秋天は3,200mでしたよね。
ノ:そやねん。今でこそ、秋の東京は、中距離馬のレースとして2,000になってるけど、当時は春の京都と同じ3,200mでのレースやったんや。しかも、当時の天皇賞は、一度優勝すると、次に出る事できひんさかい、どっちを使うかで陣営も悩むモンやったんや。
シ:でも、東京の方で勝ってるんですよね。
ノ:当時の輸送は、高速道路がないさかい馬運車やのうて、家畜用の貨車が一般的やったさかい、結構大変なんやで。そやけど、レース以外では大人しゅうしとる馬やったさかい、遠征先でも強い競馬ができたって事や。
シ:晩年も、凄まじい余生でしたよね。
ノ:大体、サラブレッドの平均寿命は、今でこそ30歳ぐらいまで伸びとるけど、昔は20歳が限度ともいわれとったんや。それを遥かに超える35歳やて。亡くなったんが1996年やから、その時代を考えると、相当タフでないとここまで長寿にはならんて。しかも、右目が白内障になっとったさかい、最期らへんは殆ど視野がなかったんちゃうかな。でも、それを理解しとったっちゅうんやから、すごい“賢い馬”やったと思うで。
シ:カメラを向けると、フラッシュを焚く人が多い事を知ってて、ワザと白内障を患っている右側を向けるという、人間の行動を知った上でポーズを決めたというあたりが、シンザンらしいエピソードですね。
ノ:いろんな意味で、シンザンは日本の競馬の象徴ともいえる存在やった。古い競馬ファンやったら、“シンザンを超えろ”というキャッチコピーは、結構覚えてはる人も多いんちゃうかな。
シ:シンザンあってこそ、後にディープインパクトへと繋がるんですよね。
ノ:いや、シンザンは“神賛”であって、他の三冠馬には申し訳ないけど、アレを超える様な“名馬”とは、ボク的にはほど遠いと思うんや。そやさかい、却ってディープインパクトの存在が、“作られ過ぎた英雄”じみて、みっともない様な気がすんねん。シンボリルドルフもそうやけど、大手の牧場が英才教育の下で育てた馬が、G1を勝つのは当たり前やと思うねん。そやさかい、本音を言うたら、競馬がつまらなくなってもうたのは、競馬の本当の“面白さ”を知らない素人が、あまりにも競馬を語り過ぎてる事やと思うねん。そういう意味では、もっとボクみたいな、過去のレースを知ってるモンが、本当の競馬の楽しみ方や、人と馬が織りなす奇跡のドラマを、わかりやすく語るべきやと思うねん。
シ:そうですね…俺も、もう少し長く生きる事ができたなら、ノブさんみたいに語れたのかもしれませんね。
ノ:それは、ボクかて同じやで。もっと後輩に、あるいはファンに、競馬そのものの“面白さ”を教えたかった。それができひん様になったさかい、マスターの力を借りなアカン様になったんや。そやからマスター、時々でエエから、このコーナー、続けてぇな。
シ:…なんか、話が脱線してしまいましたが、今月はこのへんで失礼します。お相手は、俺、シンと、
ノ:ノブでした。ほな、またな。