迷馬の隠れ家 はてな本館

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知る権利と匿秘する義務

特定秘密保護法案に関して、危機感を煽ってる人が多いんではっきり言っておくが、国民の“知る権利”とは、特定の情報に対して“匿秘する義務”と引き換えにあるのであって、何でもかんでもオープンでなければならないのであれば、ストーカー対策もハッキング対策も、ヘッタクレもない話になる。つまり、“知る権利”を主張する人に限って、自分自身の“プライバシー”に関しての開示は、絶対にしたくないと矛盾した事を言い放つ訳である。国だって国民の利害を考えて上で秘密にしたい事もあるだろうし、その逆もある…考え方ひとつで、それは自分自身を傷付ける事になりかねないのに。

特定の難病患者の中には、自分の病状を把握したいからと言って、医療機関に治療データ等の開示を求める人も多いが、多くの場合、それを素直に受け止められるのは稀であって、むしろ否定的な事を医師に言っては勝手に絶望する訳である。もちろん、人間はいずれ死ぬ運命は避けられないからこそ、どういう状況なのかを知りたい反面、それによって精神的にまいってしまえば、他の患者では有効だった治療法も、単なる“医療ミス”に化ける事になりかねない。だから、医師として患者に対して告知を躊躇う人もいる訳であり、患者も希望を捨てたくないから、敢えて聞かないで亡くなる人もいる…そう、真実を“知る”事が、全てにおいて“幸福”とは限らない。もちろん、はっきりさせる事での選択肢を広げる事もあるだろうが、その逆もまた然りである。
国家機密になっている多くは、一般人が知ったところで何の意味もない話が多い。逆に、他国から見れば、驚異的な話だったりするモンだから“国家機密”という扱いになっている事が多い。もちろん、その中には近隣国との国交正常化に関する“黒い関係”を裏付ける様な情報もある訳だが、それを知ったからと言って、正直“誰得?”な話は、関心が薄くて当たり前だし、開示したとしても、それを事実として受け入れられるかどうかは、受け手の感情次第である。韓国がムキになって日本に対して謝罪を求める背景も、要はそういう事であり、真実として証拠を並べたとしても、相手がそれを信じない以上は、話は平行線を辿るだけである。つまり、国家間の屁理屈合戦が、いつ“武力衝突”という悲劇を招くかわからない。それを防ぐ為に、本来なら国民に対して言わなきゃならない事を、暴徒化した国民によって政権崩壊を恐れるあまりに“国家機密”にしてる訳である。そこんトコは、実は中国も同じ。(ただ…中国の場合は、やり過ぎると世界から総スカン喰らうのがわかってるから、ある程度まで暴動が起きた後は、軍部を使って鎮圧…というパフォーマンスをする訳でw)
秘密にしてなきゃいけない、本当の理由を知った上で“知る権利”を主張するのは大いに結構だが、秘密を知るという事は、当然ながら、それを部外者や特定の相手に口外してはいけない…つまり“匿秘の義務”が課せられる。裁判員裁判においても、裁判員として選出された一般人は、自分の意見ひとつで、特定の被告の運命を、法律に則ってとはいえ“勝手に決める”訳だから、もしも被告家族…特に殺人事件に関与したと濡れ衣を着せられた家族に、裁判員裁判での経緯を何らかの方法で知られてしまえば、それ故の“お礼参り”に遭ったとしてもおかしくない…そういう危険を回避する為に、一般から選出された裁判員には守秘義務が課せられるのです。同じ事は、弁護士や裁判官、そして検事にも課せられている事です。
当事者以外、立ち入る事のできない真実に対して、部外者が“知る権利”を主張してどうこう言うのであれば、それによって歪められた情報を流されて損をするのは、真実を知る必要性のなかった人達です。特に、歴史を語る時に必要なのは、現場で立ち合った経験者の証言と、それに基づく物的証拠、そして時系列を纏めた記録です。考古学でも、様々な史実と、それに対する物的証拠を照合し、尚かつ、近代・現代史の場合は、その時代に立ち合った“生き証人”の証言が重要とされています。しかし、参考となる史実や、当事者の証言に虚偽があったり、物的証拠が捏造されれば、真実の立証は不可能となります。以前、このBlogでも書きましたが、史実や証拠も、いろんな意味で歴史上における“パラレルワールド”の一部なのです。だから“どうでもいい話”になる様な事案は、その殆どは当事者にとって“重要機密”として隠蔽したとしても、当事者以外の者が“どうでもいいや”と思った時点で開示されたモノなのです。その時に当時を振り返って、それを墓場まで持っていくべきか、あるいは後世の誰かに打ち明けて懺悔するかは、当事者の勝手なのです。それでも“知る権利”を振りかざしたいのであれば、ストーカーにエサをやるつもりで、自分の個人情報を、全て開示すべきでしょう。それが、本来“知る権利”を有するものが重要機密を開示させる為の“等価交換”の条件です。もちろん、それに似合う価値の情報であればの話ですが…