迷馬の隠れ家 はてな本館

旅好き・馬ぐるみゃー・オジアナヲタクな主婦の、雑多なコンテンツですw

踏切事故がなくならない“最大”の理由とは?

昨日の話と関連する事になるが…さっき見てた情報番組のコメンテーターの意見を聞いてて、“ああ、この人ら、現場を知らんと言ってるなぁ…“と感じた。それは、事故に繋がる“開かずの踏切”問題。鉄道沿線住民にとって、鉄道は生活の一部。通勤・通学や、ちょっとした旅行、買い物に…移動の手段のひとつとして存在する訳だが、それ故の問題もある。それは、線路を隔てた先への移動である。オイラも現在地に嫁ぐまでは、すぐ近くに私鉄の線路があって、その先のコンビニや病院に行きたくても、遠回りして踏切や跨線橋を渡らないと行けない事は、日常茶飯事であった。(今では、コンビニ行くにもクルマがないと行けないw)しかも、運行本数の多い路線の為、朝夕のラッシュ時は、マジで“開かずの踏切”状態で、周辺道路も大渋滞は、普通の光景である。

では、なんでこんな事になるかといえば、全て行政が…とか、鉄道会社が…とかの話になりそうだが、根幹の問題は、実は周辺住民全員の話になる。つまり、鉄道会社と行政(地元自治体)が、高架橋への移行を計画してても、あるいは、地下路線化や主要踏切の跨線橋化の工事に着手したくても、その為の“不便”を、誰一人として受け入れないのであれば、計画が進まなくて当たり前であり、その分の工事費を、福祉や教育に…ってバカなことを言う市民運動が起きるモンだから、ややこしくなる訳である。つまり、誰一人として“正しい税の使い方”を、自分達の感情のみで阻害してる自覚が無いのだ。
少し、具体例を出すと、京阪淀駅の高架への完全移行が完了したのは、つい最近(2〜3年程前)の話であって、それまで、遅々として高架への付け替え工事が進まなかった…もちろん、京都競馬場の最寄駅であるから、この工事の費用は、JRAが京阪と京都市と折半して工面してるんだが、実は、この工事に対してイチャモンを付けたのは、淀駅周辺の商店主達だった。てのも、その“言い分”が淀駅を利用する競馬ファンが商店街でお金を落としてくれないから…というモノであった。以前の淀駅は、競馬場よりも大阪寄り…てか、淀城趾寄りに位置してて、商店街も、それに寄り添う格好で存在していた…しかし、競馬開催時や観光シーズン中の慢性的な交通渋滞の“原因”が、淀駅前の踏切が、繁忙期ダイヤだと、ほぼ“開かずの踏切”状態だった事を受け、“幹線道路でコレはマズいっしょ”って考えがあって、京阪は高架への付け替えを計画した訳である。で、JRAとしては、できるだけ、多くの競馬ファンが雨に濡れずにスタンドまで移動できる様にと、現行の位置への駅舎移動を要望した訳である。これで“カチン”と来たのが、件の商店主達であり、ここで立ち退き拒否や高架付け替えに反対する為の差し止め訴訟を起こすだのと、すったもんだの大騒ぎが起きた訳である。で、その結果、駅のメイン改札は商店街寄りに設置し、競馬場側改札は、あくまで競馬開催時の“臨時改札”として運用する事で決着した事で、やっとこ工事に取りかかった…という経緯がある。同じ理由でゴチャ付いた話でいえば、阪神競馬場の最寄駅である阪急仁川駅の再開発でもあった訳で、ここでもやっぱり、経済活動での諍いがあって、すんなりと話が纏まった訳ではない。(と言っても、のちに阪神大震災が発生して、それ以降は住民もJRAもモメなかったんだが…)
これはあくまで、駅周辺の商店街がある場所での問題だから、ここでの“悪”は、鉄道会社や自治体に対して損害賠償を請求した商店主となる訳だが、同じ様な事案は、他にもいろんなケースで存在する。例えば、南海高野線の高架工事が行われない背景に、上町断層に沿って線路が敷設されている事を挙げる人がいる。実は、南海高野線堺東駅の東側に、大きなマンションが建ってるんだが、あの地下にもその断層の一部があると指摘して、建設反対をやったバカがいた…つまり、いつ起きるかわからん都市直下型地震を気にするあまりに、都市の再開発に反対してるって訳である。(もちろん、施工主の某ゼネコンは、最新鋭の免震工法を盾に、そういう意見をガン無視して建てたんだけどねw)同じ理屈で、環境保全や遺跡の保存の為に、近鉄奈良線の地下化の計画が大幅に狂った経緯がある。ぐぐるの航空写真付き地図でも見たらわかるが、当初の計画では、平城宮跡を完全に無視して敷設する予定だったが、たまたま遺構が見つかった事によって、一部横断する格好で地上部分を走る様に敷設し直した訳である。(もちろん、工事の途中で、橿原考古学研究所の職員がすっ飛んできたのは、いうまでもないw)話が脱線するが、現在建設中の京奈和道で、西名阪と離合する郡山(福島じゃなくて奈良の方w)ジャンクション建設工事でも、実は平城京の遺構が見つかった関係で、計画よりも10年以上遅れてたりしますw
つまり、“開かずの踏切”問題を解決させたくても、鉄道会社や関係する自治体だけで解決できる様な話ではなく、また、全ての鉄道を廃止して解決できる程優しい話でもない。もっと言えば、利用者と住民が、必ずしもイコールではないからこそ拗れる訳であり、また、都市計画そのものが、計画当初の目論見が外れて、既に破綻してるからこそ、おかしくなる訳でもある。道路の拡幅工事をしたくても、住民への説明が不十分であったり、どんなに説得を行っても、断固として計画を阻害する状況であれば、それが事故を起こす“引き金”になる…そこんトコをわかった上で論ずるならともかく、一方的な視点でのみ論じたとしても、それは“現場を知らない”のとまったく同じなのである。京阪神の市電が全廃したのは、急速なモータリゼーション化した道路事情によるものであり、そんな神戸市では、環境保全を前提とした市電の復活を計画している。しかし…それによって迷惑を受けるのは、神戸市内を走行する貨物ドライバーであり、また、ドライバーを相手に商売をやっている商店主達である。また、京都市営地下鉄が水没した事によって、相互乗り入れを行っていた京阪京津線は、復旧工事を待ってる間、ほぼ全線で運休した。仮に、市電のままで残っていたなら、何らかの方法で回避できた事だったのに、そうなったのも“行政が悪い”とするならば、まさしくそれは、住民個々の“我侭”である。自分が、どの立場で話をするかで、問題点が一方的な事で論ずるべきではない事を知る訳であり、それ故の妥協点を見出さずに意見を否定するのは、後々、自分の生活が苦しくなる事を意味する。だからこそ、住民と公共交通機関、そして商店主との仲裁役として地方議員や国政議員がいる訳であり、そういった者の調査報告を精査した後で、計画をどうするかを提示するのが役人の役割である。それを今まで自覚してないから、無責任なコメントを平気でメディアに垂れ流すのである。