迷馬の隠れ家 はてな本館

旅好き・馬ぐるみゃー・オジアナヲタクな主婦の、雑多なコンテンツですw

当面の危機は去ったが…。

村上ファンドvs阪神電車の“虎を巡る”会談は、どうやら阪神電車側の言い分が通った様で、熱狂的なトラキチどもにとっては、まずは一安心といったとこでしょうか。当然といえば当然でしょうが、日本のプロ球団はスポンサー企業(冠名になってる企業名)の“広告塔”であり、本来なら本業の業績が悪化すれば“廃止”も辞さない経営をやってるのが現状です。(それ故に、諸悪の根源ナベツネが1リーグ化を提言した訳だが…。)が、阪神電車の場合、“鉄道会社がプロ球団を保有する”が故に、ファンが足繁く通う球場(甲子園球場)と主要ターミナル(梅田・三宮、山陽電鉄も含むと姫路まで)を結ぶ“鉄道路線”が整備された環境下で経営が成り立ってる“極めて稀な”企業でもあります。その阪神電車にとっては“稼ぎ頭の孝行息子”ともいえる“阪神タイガース”を、一部の株主の権限だけで“独立”させるという事は、最悪の場合、鉄道事業の赤字を返済できないまま“倒産”という事もあり得るのです。

阪神電車に限らず、関西の私鉄各社は、慢性的な赤字を(規模の大小はあるが)抱えながら営業を続けています。というのも、“鉄道事業”というのは路線の整備や沿線都市のインフラ整備、さらには災害や不慮の事故(飛び込み等の自殺も含む)による不通区間の復旧作業や保証問題等、旅客輸送や貨物取り扱い等で得られる利益の大半を費やさないと運営に支障をきたす、ある意味“ヤクザな職種”です。でも、道路網の整備が不十分だった頃に、あらゆる事を想定して沿線を開発したおかげで、基礎となる鉄道事業を継続できる環境だけは守られてるのが現状です。
阪神電車を除く関西の大手私鉄は、バブル期に本業を疎かにしたツケが現在も残ってる為、泣く泣く鉄道事業以外の部門を廃止・縮小を余儀なくされている訳だが、阪神電車はむしろ、バブル期でも昔のまんまの経営で今日まで運営を続けた。そのおかげで企業としてのダメージは、阪神・淡路大震災での高架橋崩壊等による全線不通の期間が長くて、収益が無かった時期がある程度で済んだのだ。(同じ区間を走ってる阪急電鉄は復旧こそ早かったが、他の部門であまりにも大きな犠牲を払ったのは言うまでもない。JR西日本は当然だが、あまりにも事を急ぎ過ぎたせいもあって、後々に“あの事故”に繋がる様な経営体質になったのは、明白である。)
村上ファンドの考え方には、確かに“利益を生む”上では理想的である。が、株式市場の相場というのは、ある意味“ギャンブル”の部分があり、好調期がいつまでも続くとは限らない。当然だが、“阪神タイガース”という銘柄は、現在では魅力的でも、来シーズンも好調とは限らないし、いつ人気が“暴落”してもおかしくない球団である。安定した銘柄ともいわれた“読売巨人軍”ですら、“東京”という言葉をビジター用のユニホームから消した途端に人気が下降し、金満体質で他球団の有力選手を買いあさり過ぎたせいで、今ではプロ野球を純粋に見ていたファンから見放された、哀れな姿を露呈している。
つまり、一過的な儲けより、永続的にファンを魅了する環境を保全してる企業だからこそ今日まで生き残ってるのであって、その並々ならぬ企業努力に賞賛を浴びせるつもりでの投資なら話が分かるが、表面上だけの賑わいである“阪神タイガース”を奪い取る様な行為は、たとえ筆頭株主といえど常軌を逸した行為である。(もちろん相場を考えたら、着実に儲けようとする為の話を、親会社である阪神電車に持ちかけただげなんだが、時期が時期だけにタイミングが悪い。)村上氏も“一人のトラキチ”と称するのならこの場合、他のファンからのやっかみを買う様な行為は慎むべきだったのかもしれない。