今一度、大阪ドームを考える。

経営再建中の大阪の３セク、大阪ドームだが、一旦は競売にかけたのに応札した相手に対して、管財人が“不適格”といって門前払いにしたという。ま、確かに応札に出た“あの会社”の社長の考え方は、ホリエモンに近いというかかなりリスキーな発想ではあるが、だからといって他の企業が名乗り出ない事と、裏でオリックスが“闇取引”してるとかいう噂がある以上、話も聞かずに“門前払い”した行為は、むしろ大阪ドームに対するマイナスイメージを与えた様に思えて仕方がない。まして、同じ“赤字財政”の大阪市に買い取ってもらおうなんて思ってるようなら、いっそ“球場”としては利用せず、ホームレスの“収容所”として活用した方がマシである。

そもそもはオリンピック招致のために作った様なモンだから、既にアテが外れた時点で大阪ガス(元々は大阪ガスのガス貯蔵タンク場)に返すか、大正区(大阪ドームがある場所)周辺の再開発計画を再検討すべきであり、中途半端な“開発”は中止すべきである。しかし、既に完成から10年くらい経ってる事と、交通アクセス(地下鉄長堀鶴見緑地線の延伸)が既に完成している以上、どうする事もできないのも事実である。では、どうしてこんなに“お荷物”な存在になってしまったか？
いろんな事が考えられるが、一番の原因はバブル期に計画を立て、その当時の価格で設計したからであり、また、周辺開発と同時進行でやるべきところを“個別”(行政の出先機関から脱却できない３セクの悪例)でやろうとした事であろう。(さらに言えばマスコミもバカで、ダメ猫阪神オンリーな野球中継をやり過ぎた事も…。）
また、立地条件が昔からの工業地帯で、しかも(さっきも書いたが)元はガスタンクがあった“埋め立て地”である。(あそこらへんは地名の通り、大正時代からの埋立工事によってできているため、非常に地盤が弱い。)よって、コンサート(特にロック系)を開催すると、その振動がモロに周辺地域のビルや住宅に伝わり、ちょっとした“公害”が発生するという脆弱性を生み出す始末である。(某バンドのドームツアーが一時“取り止め”になったのは、有名な話。)
オイラも何度かあそこへ行った事があるが、ハッキリ言って“寂しい”場所である。コレといった目玉になるショッピングモールがないし、なんといっても併設するホテル(宿泊施設)が一軒もないのがイタい。(確かに、難波や梅田に近いから、必要ないと思われるのはわかるが…。)さらに、一昨年の“球団合併騒動”がトドメを刺したといって過言ではない。
本気で“再建”を考えてるんなら、“薄利多売”であらゆる事を試すべきである。例えば、インテックス大阪でやってるコミケを年に数回ココで開催し、コスプレもできるイベントをやってみるとか、岸和田競輪場の代わりにバンクを作って小倉競輪場みたいにしてみるとか、長居スタジアムの代わりにサッカーコートを用意するとか…。(場合によっては、ばんえい競馬や日本古式の闘牛をココでやってみるとかもアリだと…。）アイデアひとつでなんだってできる場所である。その中で収益がある事業に対しては、永続的に利用してもらえる様に優待制度を設けたり、運営そのものを委託しても良いのではなかろうか。逆に言えば、既存のプロ野球チームや芸能プロダクションに頼るのは、愚の骨頂だとオイラは思う。伝統や文化は、黎明期からコツコツ続けていく事で身に付く訳であり、最初から諦めてる様な状況ではせっかくの施設もムダになるだけである。(この問題、動物園前のフェスティバルゲートでも言えてるんだけどね…)