迷馬の隠れ家 はてな本館

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3つの災い、7つの難儀

立正安国論”の中に出てくる言葉に、“三災七難(さんさいしちなん)”というのがある。金光明経と仁王経、薬師経、大集(だいしつ)経に説かれている、正法に背き邪義を唱える様になった時に起こる災難を意味する。
大きな流れとして、3つの“災い”と7つの“難儀”に分ける事ができるが、基本的に7つの難儀と3つの災いは相互にリンクしているんで、その意味を踏まえておくと理解しやすいかと思う。また、金光明経と大集経では、この“七難”の意味合いが若干異なるんで、詳しい解説はちょっと省かせてもらう。

まずは“三災”から。この“三災”とは基本的に1.天候不良による飢饉、2.災害からの復興や衛生管理が不備だったがために蔓延した疫病、3.慢性的な物資不足や領有権等のこじれから発生する戦争(テロ・クーデター含む)を意味する。このうち1と2はある種“天災”の要素であり、不測の事態に備えた対策さえやっておけば、最小限の被害で食い止める事もできる。しかし3は完全に“人災”であり、対策だけ練っても解決には至らないのがオチである。というのも、1と2で不安になった挙げ句、もっとも単純に自分が抱える問題を“消去”させる方法が戦争という“破壊&略奪”行為であり、そこには相手を思いやる気持ちなど、微塵も無い訳である。つまり、“生き残りたい”と思うがために、誰かを“犠牲”にするという、ある意味本末転倒な事を、いとも簡単に選んでしまう訳である。
で、この中に内包されているのが“七難”であり、内容的に“三災”をわかりやすい事例で表した部分といえる。で、基本的なことをいうと、1.異常気象が頻発する、2.その結果作物が不作となり食料不足を招く、3.原因不明の疫病が発生して大量の死者が出る、4.さらに震災や水害で集落が壊滅的なダメージを負う、5.日食や月食が頻繁に起きて更に情緒不安になる、6.親類・縁者が信じられなくなる、7、他人にすべてを奪われてしまう、という訳である。
特に自界叛逆難(身内からのクーデター)と他国侵逼難(異国からの侵略)は、為政者のエエ加減さが原因で引き起こすとされている。また、自分が相手の話を聴こうとしないからこそ発生する“暴力行為”であり、向こうにその気が無い場合も結果として同じ事になる。(一番わかりやすい例としては、戦前に起きた軍事クーデターの“二・二六事件”は、当時の首相はクーデターを起こした将校に対し、言い分を聴こうとしていたのにも関わらず、一方的に射殺した経緯がある。この結果、天皇の勅旨をもって主犯将校は逮捕→処刑となり、臨時で軍部に政権を移したが為に、太平洋戦争が勃発したと考えられる。)
立正安国論”で一番に言いたかったのは、世の中が不安な情勢であっても互いの人間性を尊重し、共栄共存の為の対話を続ける姿勢を示せということ。その為の“正法”として選んだのが法華経であり、その法華経広宣流布する為に日蓮が説いたのが“南無妙法蓮華経”という境涯である。
だが、その意味をキチンと世界中の人々が理解するまでに、およそ750年以上掛かったのはいうまでもなく、それでも未だに宗教を愚弄し、相手をバカにして傷つける行為が止まらないでいるのが現状である。