迷馬の隠れ家 はてな本館

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日本人は“ミリメシ”がお好き?!

最近、自衛隊や海外の軍隊が保有する保存食…いわゆる“ミリメシ”が静かなブームらしい。この“ミリメシ”ってのは、有事の際に隊員が持ち歩く携帯食料で、一回分の食事をパックして必要に応じて湯煎で暖めたり、お湯で戻して食べられる様になっている。一部はゲーセンの景品等で流通してる様だが、保存期間が長く、しかも調理が簡単な上に美味しいとあって、アウトドアマニアやミリタリーマニアでは挙って買い求める程の人気だとか。(ちなみに、陸自の“ミリメシ”は世界の軍事関係者にも好評らしく、一部欧米の軍部では、密かにその技術を探っているらしい…w)
実は、“ミリメシ”ってのは各家庭にも普通に存在していて、何気なく使ってるのはご存知だろうか?正確には“かつてのミリメシ”と言った方が良いかもしれないが、缶ビールや瓶入りイチゴジャムは、そもそも現在のスタイルで流通していた訳じゃない。そう、コレも本来はれっきとした“ミリメシ”なんですよw

そもそも“瓶詰め食品”や“缶詰”ってのは18世紀以降の発明品で、元々軍隊の携帯食として開発されたのが始まり。それ以前はというと、例えば大航海時代の時は、そういう食料保存技術もない事が災いして、航海中に栄養失調で乗組員が体調不良(ビタミンC欠乏による敗血症)を起こし、亡くなる事が日常茶飯事だった。当然だが、そんな時代の戦争は、食事時に野菜を食べる事など皆無に等しく、また、鮮度の良い食材を現地調達(といえば聞こえが良いが、要は侵略した領地の農家から農作物の略奪)で賄うのが普通だった訳である。だが、そんな事を繰り返せば農地が荒廃し、思った様に作物が取れなくなる危険性も出てきた訳であり、また、本国からの補給を得ようと思っても、遠すぎれば鮮度も落ちるし、生ものは腐って食べられなくなるのがオチ。そこで、予め調理しておいた食材を、できるだけ変質せずに持ち運べて食べられる保存方法はないかと、ヨーロッパ各国の軍部は科学者達に研究する様に命じた訳である。で、最初に思いついたのが、工業生産ができる様になったガラス瓶を使って保存する方法だった訳である。当時はいわゆるスクリューボトル(ねじ式の蓋が使える瓶)ってのは無かったから、コルクと蜜蝋で栓していたのが一般的だった。でも、衝撃に弱く、よく割れるのが欠点だったのはいうまでもなく、後に瓶ではなく、錫や鉄の缶で保存する方法…つまり缶詰が開発されるのである。が、保存はできるが開封する技術が無かったモンだから、最初のうちは拳銃で上手く狙いをつけて、無理矢理開けるのが主流だったのだw(で、缶切りが開発されるまで、不便を強いられた訳でw)
さて、欧米諸国はこういう苦労をやってた訳だが、日本ではどうだろうか?実は日本の場合、気候や地形の関係で、ここまでの苦労をしなくても何とかなる術が、既にあったりする訳で、その“原型”が、普段は煮物とかでお世話になる“乾物”だったりする訳である。ただ、“ミリメシ”というよりも、もっぱら“余り物の処理”として保存食を作ってた部分もある為、厳密には“ミリメシ”とはほど遠いのだが…。しかし、ちゃんとそれを活用して、当時の権力者に徹底抗戦した連中が居る。それは、北海道のアイヌ達で、彼らは常に猟や山菜採り、さらには戦の時に、必ずと言って良い程の食料を大量に持っていっていた。彼らは日頃から、自然の恵みを共有する意識があり、大量に獲物を得れた時は、飢饉に備えてありとあらゆる保存食を作っていった。で、必ずそれをいくつか持っていって、現地で野営する時に調理した訳である。この知恵があったから、江戸時代末期まで松前藩とバトった時に連戦連勝しまくった訳である。
もちろん、現在の加工食品の一部には、“ミリメシ”に転用された技術もある。例えば、湯煎で食べられるレトルトパウチ食品も、コーヒーなどの加工品にあるフリーズドライ製法も、で、葉野菜をフリーズドライ加工する際に施すトレハロースコーティングも、さらには即席麺(インスタントラーメンの類)も、現在の“ミリメシ”には欠かす事ができない加工方法である。特に、学校の米飯給食時に用いられる“アルファ化米”ってもの立派な“ミリメシ”で、その原型は戦国時代によく使われた“干し飯(いい)”だったりする。レトルトはともかく、フリーズドライ製法もアルファ化米も、基本的に水さえあれば調理できるとあって、そういう意味では“干し飯”や千切り大根等と同じである。