迷馬の隠れ家 はてな本館

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伊勢神宮と公共事業の話w

若干、コレと話がカブるんだが、今、伊勢神宮では20年に一度行われる大祭、式年遷宮の真っただ中である。この“式年遷宮”ってのは、公式ホムペを一読してもらうとよくわかると思うが、奈良時代から延々と続く神宮の敷地内移設建替え事業である。では、なんでこんな事が奈良時代から行われているかというと…表向きに関しては宗教絡みの話なんでココでは無視するとして、その裏…つまり、“公共事業”としての側面で捉えた時、宮大工や建築業者にとって、これほど都合のいい“食扶持”は無い訳である。言い方を変えると、定期的なメンテナンスと改築が行われる事は、その分だけ仕事があるという訳である。

スペインのサグラダ=ファミリア教会は、着工から100年以上経っているにも拘らず、現在も“建設中”である。てのも、着工途中から図面を書き直した、建築家アントニ=ガウディが大雑把な事しか描かなかった事から、そのあとを引き継いだ建築家達が、どれだけの規模でどういう規格の寸法で作るべきかで試行錯誤しながら建ててる訳である。そのため、完成までには、どんなに早くてもあと50年は掛かるともいわれている。だが、冷静に考えればわかるが、100年以上前の素材が、完成後にどれだけの劣化を起こしてるかは、地球温暖化やスペイン国内での治安情勢等によって変化する訳であり、その部分を修繕しながらの建築であるから、完成したとしても、その後のメンテナンス等に同じだけの時間が掛かると推測される。つまり、この時に携わる作業員と、完成当時の作業員は、その“作品”を通して技術の継承をしていかなければ、万が一復元作業が必要になっても、それができない様になる。恐らく、それを見越した上で、ガウディは設計図を曳き直したのだろうと考えると、なかなか“先見の明”があったと思えるだろう。
実際はコレとは別次元だが、伊勢神宮式年遷宮も、大工にとっては古来より続く木造神殿の建築技術を学ぶ絶好のチャンスであるとともに、それを継承する事によって、未来にも現在と同じ姿の伊勢神宮であり続けられる。そしてそれは、他の社殿仏閣の復元工事や改築等の基本的な技術であり、日本古来の木造建築物の修繕や保全に役立つのである。また、こういった古典的建築技術は、歴史研究…特に考古学上において貴重な“生資料”であり、そこから日本人のルーツを探るヒントにも繋がるのである。こうして考えると、太古の大和朝廷は、伊勢神宮周辺に住んでいる“技術者”保護のために、わざとそういった“しきたり”を作ることで、延々と安定した収入を得られる手段を提案したのだろう。