迷馬の隠れ家 はてな本館

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マーティの真面目にプライオリティー 2009年7月号(脳死と移植医療を考える その1)

ども、こんばんは。通常ですと第2木曜更新の“まじプラ”ですが、今月は2週目以降の水曜を除いて、すべての曜日でボクらの雑談や専門知識の情報等を公開する“GQの夏祭りw”期間として、割り当てられています。そこで今月は、通常と違って“週刊まじプラ増刊号”と称して、今国会でも議題に上がっている、臓器移植法案改正とそれに伴う脳死移植に関する話を、毎週木曜に更新します。既に報道で御存知かと思いますが、今国会で審議されている臓器移植法の改定ですが、衆議院では15歳未満(未成年)の脳死も“人の死”として取り扱うという案が可決し、現在参議院に送られました。現在の法律では、15歳以上で、怪我や病気が原因で脳死状態(詳しい事は来週以降にやりますが…)と判定された場合にのみ、本人が臓器提供意思表示カード(通称:ドナーカード)を生前から所有してる事と、家族の同意があれば、その時点で“死亡”が確定し、臓器は移植を待つ患者へ届けられます。しかし、ドナーカード保有者が少ない事に加えて、15歳未満が対象外になっているため、未成年の臓器移植待機患者の多くは、海外に渡航するケースが殆どです。しかし、海外でも臓器移植を待つ患者は当然ながら存在する訳で、待機患者は日本人ばかりではありません。では、何故その事が理解されないのでしょうか?

でもその前に、基本的に“臓器移植”という治療方法について、少しわかる様に説明しておきましょう。
本来、人間の体は免疫機能の関係で、他者の血液を輸血するだけでも拒絶反応を起こします。(これは、他の感染症等から身体を守るための防衛本能が働くためです。)しかし、厳密にいうとそこには“弱点”があって、その免疫機能が反応しない状況を作ることもできるのです。そのひとつが、日本人なら誰もが知っている“血液型”です。つまり、この血液型が一致していれば、重い拒絶反応を引き起こさないだけでなく、緊急時の生命維持を可能にするのです。輸血の場合だと、みなさんも御存知の“ABO式”というものと“Rh式”というのが問題になりますが、臓器や骨髄の場合は、むしろ免疫機能の抑制の観点から、白血球の型を調べる必要があります。つまり、この白血球の型が合えば、脳以外なら移植は可能なのです。
が、実はここに問題があって、まったく同じものはひとつもなく、類似してる型でも兄弟でも25%の確率しかなく、同じ血縁者である親であっても、実際に型が合うかは残念ながら、10%未満だそうです。しかも、同じ病気を発症させるかもしれないDNAですから、たとえ、生体移植で一時的に助かったとしても、再発する危険性は残ります。まして、肝臓や腎臓といった、一部を摘出しても通常生活に問題がない臓器ならいいんですが、心臓や角膜(眼球)といった部位は、ドナーとなる者の“生命”を奪わなければ、受け取る事ができません。つまり、この難しい状況を解決する“医学的に都合のいい状態”なのが、“脳死状態”の患者という訳です。
つまり、医師から法的に“脳死”と判定され、遺された家族にとっては、“他の患者のために医師によって殺された”という“事実”がある訳で、たとえ本人の意思とはいえ、すべての臓器が摘出される事を考えると、決断を下すのも精神的に苦痛が伴います。しかし、拡張型心筋症や重度の糖尿病患者(正確に言うと、生まれつき膵臓の機能不全と診断された患者)等、臓器移植を待つ患者にとっては、この“殺害が伴う医療”ともいわれるコレは、“最後の希望”なのです。
来週は、“脳死”って何かという事を、詳しく説明しようと思います。では、今日の担当は、マーティでした。