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まじプラ増刊 脳死と臓器移植を考える その4

【7月21日 AFP】心臓発作で破壊された組織の一部を、結合組織細胞から誘導された幹細胞を使って修復することに成功したと、米ミネソタ(Minnesota)州のメイヨークリニック(Mayo Clinic)の研究チームが20日発行の学術誌「Circulation」に発表した。
 今回マウスで行われた実験は、心臓病を多能性幹細胞(iPS細胞)を使って治療するという初めての試みで、患者の心臓を、心臓移植によってではなく患者自身の細胞を使用して修復できるようにすることを目標としている。
 チームはまず、結合組織細胞など形成に関与している線維芽細胞を、将来心臓の筋肉に分化する幹細胞になるよう、遺伝子的に再プログラミングした。これらの細胞をマウスの損傷した心臓に移植してみると、4週間以内に、構造的な損傷の進行が止まり、心臓発作後に失われていた心筋の動作が再開され、損傷個所の組織が再生されたことがわかった。 
 幹細胞は、再生医療などの現場で注目され、2007年にはヒトの皮膚から人工多能性幹細胞を作製することにも成功しているが、こうしたiPS細胞の臨床試験はいまだに認可されておらず、実際の治療が行われるようになるまでには数年以上かかる見通しだ。(c)AFP
こんにちは、マーティです。今日は臓器移植に代わる“代替治療”に関しての話をしましょう。上記は、つい最近あった、iPS細胞を用いての心臓治療のにュースです。今回の話題に関しては、参考サイトとして、京都大学iPS細胞研究所(CiRA:サイラ)と、日本人工臓器学会、そして国立循環器病センターを利用します。少々難しい用語が書かれてますが、できるだけわかりやすく解説しますので、最後までお付き合いください。

まず先に、ニュースに出ているiPS細胞(人工多能性幹細胞)ですが、基本的にはどんな臓器・器官にでも変化させる事ができる“万能細胞”の事で、通常は生体…普通はブタかマウスを用いますが、ここから組織の一部を抜き、これをウィルスベクターという特定の遺伝子を分別するものを使って、必要な部分を取り出して専用の培地で培養し用いる細胞です。これの類似…というか基本となっているがヒトES(杯性幹)細胞というものなんですが、問題点として、このES細胞を作るのに受精卵が必要だったため、倫理面での問題がありました。それを解決するために作り出されたのがiPS細胞なのです。しかし、現時点では細胞を取り出す部位によっては、移植後に癌化する事もあり、その安全性が確立されない限り、細胞培養で作った臓器を移植するのは、まだ時間が掛かります。
では他に、どんな方法があるでしょう?現在の様に万能細胞で臓器を作るという研究がなされる以前から、機械的に動かす人工臓器というのがあります。現在では、心臓だけじゃなく、肝・腎・膵・肺の人工臓器があり、また、ステント等の人工血管や白内障患者のための人工レンズも現在はあります。人工血管やレンズに関してはここでは振れませんが、基本的に“万能細胞”という発想がなかった時代において、重症患者の延命処置として、あるいは心臓手術での生存率向上のために開発されたのが、これらの器具なのです。人工心臓に関していえば、大まかに、左心室に管を通して弱まった心臓の動きを助ける補助人工心臓と、完全に両心室を置き換える全置換え型人工心臓があります。いずれも本来の使用目的は、臓器移植待機の延命療法なのですが、心筋梗塞等で心不全を起こした患者の中には、この補助人工心臓を装着した事で回復するケースもあります。補助人工心臓の場合、心臓の機能さえ回復すれば、取り外す事も可能です。が、人工臓器の場合、どうしても体内に“異物”が入ってる状態と同じなので、血栓感染症を起こす危険性があります。また、血栓予防のために血液の凝固を防ぐ薬剤を投与するため、ちょっとの怪我でも出血が酷くなります。また、他の人工臓器は、機材によっては寝たきりでないと使えなかったり、手術時限定でしか使えないものもあります。
現行の状況では、臓器移植に代わる医療として注目はされていますが、万能細胞に関しては安全性が、人工臓器の場合はそれと同時の小型化が問題となっています。特に人工臓器は、その殆どが“機械”である以上、定期的なメンテナンスが必要であり、また、動力としての電源を必要とするため、どこから電源を得るかが小型化へのカギとなっています。
今週は、ここまでにします。来週はいよいよ、この企画の最終回です。