迷馬の隠れ家 はてな本館

旅好き・馬ぐるみゃー・オジアナヲタクな主婦の、雑多なコンテンツですw

馬に“ゆるキャラ”がいない訳…

先週の“週刊競馬ブック”のコラムで、舩山アナが馬の“ゆるキャラ”はJRAのターフィー50(@サンリオ)ぐらいだと書いていたが、実は、馬は残念な事に、いわゆる“ゆるキャラ”にしにくい…というか“できない”理由がある。それは、よく考えるとわかるのだが、他の動物と違って、デフォルメした時に“ブサイク”になるか“イケメン”になるかの二極しかない“欠点”がある。そう、“顔面”が長過ぎるのだ。

犬や猫の仲間はともかく、同じ草食動物である牛や羊、雑食の豚や熊、人間に近い猿、図体がデカい象やキリン、更には兎、ネズミ、リスといった小動物は、なんだかんだ言いながら顔を描くと人間に馴染みある面構えになりやすいが、馬の場合はそのまま描くと完全にバランスが悪い。そう、よく見るとわかるが、面構えが長過ぎるのだ。
豚を含めた偶蹄目は、草食でありながら顎が小さい。その分、食物の消化をする器官…特に胃は、複数持っている為に、食事を纏めて一回で摂ったとしても、その後ずっと反芻している事が多い。対して馬は、骨格標本を見た事があるならご存知だと思うが、前歯と奥歯の間に歯が生えていない部分が存在する。コレのおかげで、馬にハミを付ける事ができて、それを通じて手綱で制御する事ができるのだが、実はコレが原因で面が長くなっている訳である。
そもそも、こういうカタチになった理由は、進化の過程で、早く走る為に空気抵抗の軽減と、走行中に呼吸を維持する為に、ああいうスタイルになった訳であり、角がある牛や羊などは、そもそも頭に“武器”がある状態だった事もあって、走る事よりも突進に特化した事が一番の要因と考えていいだろう。(豚の場合、その祖先である猪が角の代わりに牙を武器にしてたから)つまり、“逃げる”事を前提に進化したのが馬…というより奇蹄目の進化であり、“力で退ける”事を前提に進化したのが偶蹄目の特徴といってよい。
つまり、いわゆる“ゆるキャラ”として馬をデザインするとなると、その特性を犠牲にせざる得ない訳で、初代のターフィーが“ブサキモ”系だったのもそれ故の話であり、現行のターフィーがカワイイ系になったのは、キティちゃんのデザイナーが、キティちゃんの“特徴”を転用したからこそ生まれたキャラといってよい。よく見るとわかるが、キティちゃんには“口”が存在しない。つまり、現行のターフィーも、“鼻は残すが口がない”デザインで、尚かつ首を短くした事で、あのカタチになった訳である。
逆に言えば、馬が“アスリート系”のカッコよさがあるからこその難しさであり、強調する場所を間違えれば、“馬らしさ”そのものが無くなってしまう。オイラの知っている範疇で馬のマスコットを思い浮かべてみると、大概が下膨れになるか、頭デッカチなキャラしか浮かばない。(ドンピーとか、ほくとクンとか、うまたせとか…)奇を衒っても、筋骨隆々のムキムキマンといったトコ(ばんえい十勝のリッキー)が関の山である。そういう意味でも、サンリオ版ターフィーの存在は、ある意味“激レア”な馬キャラといってもいいのかもしれない。