迷馬の隠れ家 はてな本館

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まじプラ特別編 vol.2 人為的難病を考える〜様々な薬害問題〜



ども、マーティです。今週も“まじプラ”の特集にお付き合いください。今年のテーマは、“人為的難病”という事で取り上げていますが、今回は“薬害”についての話です。
ひとくちに“薬害”と言っても、調合薬剤の飲み合わせや過剰摂取等で引き起こされる“事故”も、薬害として取り扱われますが、今回の場合は、その中でも血液製剤が原因で起こった“薬害エイズ”や、フィブリノゲンによる“薬害肝炎”、そして、かつて問題となったサリドマイド奇形について、簡単にですが、説明しようと思います。

まず、“薬害エイズ&肝炎”に関して、先に結論を言ってしまうと、血液製剤を作る際に、ウィルス検査やウィルスの不活性化処理を行っていないことによる、“健康被害”という事です。つまり、血友病重篤な怪我を負って、その治療に用いた血液製剤…血小板や血漿輸液そのものが、HIV(エイズ)ウィルスやC型肝炎ウィルスに汚染されていたにも拘らず、使ってしまったことが原因なのです。言い方を変えれば、救命の為に使ったばっかりに、逆に患者の生命を奪いかねない状況になってしまったことが、一番の問題なのです。
以前、献血の話をやったとは思いますが、何故“献血”が大切なのかと申しますと、血液製剤を作る為には、より安全で確実な方法で、健康体の人間から血液を採取しなければいけないからです。しかし、この血液製剤用に必要な血液が、かつては金銭での取引材料になっていた事もあって、それによる売血が頻繁に行われていた訳です。つまり、そうやって無理矢理に血液を集めて、しかもウィルス検査も無しで血液製剤を作っていた訳ですから、何らかの弊害が出る事は、日を見るより明らかです。しかし、現代の医療では、そのリクスがわかってるからこそ、加熱・不活性処理を行った血液製剤が主流となっているのですが、薬害エイズや肝炎が問題になる以前では、医療現場でもそういう認識が薄く、当時の厚生省ですら、非加熱製剤の危険性に関して、問題視する事は、殆どありませんでした。
ここで少しだけ、血友病という疾患について簡単に説明しておきます。なお、参考までに、こちらのサイトもご覧ください。この疾患は、血液の凝固に必要な第8因子と第9因子が体内で生産できないという、遺伝子の欠陥によるもので、その殆どはX染色体に問題があって、女児よりも男児に症状が出易いのが特徴です。そのため、定期的に、あるいは出血を伴う事例…運動中の怪我や虫歯治療等の時に、その足りない凝固因子(第8因子、又は第9因子)を皮下注射で補う必要性があるのです。そして、その必要な凝固因子を作るのに、血漿が必要となる訳です。
また、実はフィブリノゲンも血液の凝固には必要な因子で、傷口を塞いでるかさぶたも、実はこのフィブルノゲンが血小板とともに変化したモノなのです。そのため、重篤な怪我を負った場合や出産時の止血剤として、フィブリノゲンが大量に必要だったのです。
さて、サリドマイド奇形という“薬害”についてですが、元々この薬自身、本来は癲癇(てんかん:大脳ニュートロンの過剰が原因の発作が起きる脳疾患)の治療薬として開発されたのですが、効果がなかった代わりに、強い崔眠性があった為、睡眠薬として脚光を浴び、特に当時は“副作用が無い”というふれこみで、妊婦のつわりや不眠症の改善薬として使われたのですが、実は成分の一部に、強い崔奇性(遺伝子の生育パターンを抑え、胎児の生長を妨げる効果)があり、これが原因で、胎児の四肢が未発達のままとなったのです。ただ、四肢が短い(又は無い)状態であっても、脳神経には影響が無い為、意識や知能、知覚に関しての障害を伴わないのが、他の先天性奇形障害とは違う部分といえるでしょう。ただ、最近になって、この薬は、HIVウィルスの増殖を抑える効果や、糖尿病性網膜症や黄斑変性症の防止、更には多発性骨髄腫対して有効である事がわかり、日本では条件付きで“医薬品”として再認可されています。また、ハンセン病にも効く為、アメリカではハンセン病の治療薬として認められているのですが、南米・ブラジルでは、特に貧困層においての識字率が低く、またピクトグラムの意味を勘違いする(“妊婦に投与してはいけない”という意味を、“中絶に使う薬”と認識する)ケースが多発して、奇形児が産まれる事例が後を絶ちません。
ボクもそうだったのですが、一日でも“健康でいたい”と思う願いから医療機関に掛かり、そこで処方された薬で治療を受けたとしても、それが却って重い副作用で苦しむという結果を生んでいるのも事実です。ただ、だからといって単純に、医療現場の人々を責める権利は、誰にもありません。なぜなら、医療技術や新薬の開発は、こういった事例で犠牲が出た数だけ、その経験と反省から進歩するのであって、何もしなければ、その分だけ別の犠牲者が増えるだけなのです。ボクらの様に、病と戦う為に新薬や新しい治療法を望む患者がいて、その声に答えようとして医師や科学者は研究や実験を重ねていく訳です。その過程に、こういった薬害等を被り、命を縮めてしまう事もあります。でも、ボクらの犠牲で、他の同じ病で苦しんでいる人達を救う力になれたならば、それはそれで“本望”なのです。もちろん、そこに利権や疾しい想いがなければの話ですが…薬害エイズに関していえば、一番の問題になったのは、企業と医師と行政が癒着し、多くの血友病患者をHIVウィルスの餌食にし、その生命を“喰いモノ”にした行為が、ボクとしては許せないのです。

今週はここまでにします。来週はいよいよ最終週、こういった“人為的難病”の纏めを行いたいと思います。お相手はボク、マーティでした。