迷馬の隠れ家 はてな本館

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欧州で原発が多い理由…

ある意味、“原発廃止を訴えるなら…”の補足ですw 巷で“火力の方がエコロジー”という頓珍漢な意見が出てる様だが、バカを通り越えて目出度いとしか言いようが無い。確かに、一度事故が起きれば悲惨なのは解るが、ヨーロッパ…特にフランスでは、電力供給の70%以上が原発である。でも、なんでそこまで原発に頼るのかといえば、何とも欧州らしいというか、工業生産時に発生するCO2が、すべての“原因”だからである。ま、それ故の事情を知った上で、なんでフランス(とアメリカ)が躍起になっているかを考えれば、自ずとわかる話なんだが…w

地球温暖化の原因ともされているCO2(二酸化炭素)…京都議定書でも、コレの削減が大きな問題とされている訳だが、実は、それだけじゃないのだ。1980年代後半、温暖化よりも、もっと深刻な事態が北欧を中心に発生していたのは、ご存知だろうか?その問題とは…酸性雨である。
酸性雨”を知らない人の為に説明すると、空気中のCO2やNOx(窒素酸化物)等が雲や霧の水分と混ざり合う事によって、強い酸性を帯びた水になる。それが雨や雪となって降り注ぎ、土壌のph数が酸性を帯び、樹木が枯れ、池や湖の生態系が狂ったのである。
そう、フィンランドでは、多くの河川や湖から魚の姿が消え、ドイツでは、多くの森林が枯れ果ててしまったのである。で、この原因と突き止めると、機械を動かす為の電力を作る為に、いくつか大型火力発電所を作ったのはいいが、防塵処理のマズさや、化石燃料…特に石炭の質が悪かった事もあって、排気ガス中の硫黄やNOx、CO2が大量に大気中に放出した訳である。で、風に運ばれて、北欧や東欧を中心に、漁業や農作物に多大な影響が出てしまったって訳である。更にイギリスでは、各地の工場からの排気ガスの影響もあって、酸性を帯びた霧が、ロンドン市民の健康を脅かした。(ぶっちゃけると、いわゆる“四日市喘息”状態な訳である)
そこで、各国が考えついたのが、CO2やNOxをまったく出さない“新エネルギー”への移行だった訳である。既に開発されていた水力発電所では、河川がある地域や水量が豊かなトコでは問題ないのだが、水質汚濁もヒドいトコでは、発電の為とはいっても、水を塞き止める事は、更なる水質悪化をも意味していた。(まして、運河も多い為、ダムを作ることは、イコール水運業にとっても死活問題だった)で、行き着いたのが、原発を作ることなのである。
しかも、欧州…特にフランスは地震が少ない事もあって、更に冷却用の水を確保する為の大きな川が点在する事もあって、田園地帯を中心に原発を作っちゃった訳である。それ以降、徐々にではあるが、酸性雨による被害が軽減した訳である。ただ、原発への移行を勧めている最中に、旧ソ連チェルノブイリ原発が爆発事故をやらかしたから、建設反対を訴えるデモも発生した訳で…
ぶっちゃけた話、今回の福島第一原発の事故発生時に、なんでアメリカとフランスが初期行動で日本政府に詰め寄ったかというと、ウラはともかく、双方共に原発推進者としての責務を感じていたからである。アメリカの場合は、そもそも自国の原発開発企業が施工した為、その際に日本が“地震大国”である事を失念してた為であり、それを日本のゼネコンが手直ししたのがマズかった訳である。そしてフランスは、この事故を起因としたデモを恐れているのである。だから、何がなんでも“最悪の事態”を避ける為に、日本政府に救援を申し出たのにも関わらず、東電共々その申し出を断ったから、グダグダなのである。
つまり、アメリカはともかく、欧州の殆どの国が、地球温暖化よりも酸性雨対策として原発に依存してるのであって、火力に関しても、硫黄やNOxが出難いバイオマス燃料(可燃性廃材ペレットや植物由来のガソリン等)への移行を急いでいる訳である。とはいえ、食糧難が叫ばれている昨今において、食用のトウモロコシや大豆を燃料にすること自体、ある意味本末転倒なのだが…