迷馬の隠れ家 はてな本館

旅好き・馬ぐるみゃー・オジアナヲタクな主婦の、雑多なコンテンツですw

レール&ホース〜鉄な馬話?!〜vol.3(マジでシンザンはエラかったw)



シン(以下シ):(´審`)b競馬ファンの皆様、おはようございます。今日のメイン競走は京都競馬場の第46回シンザン記念(G3)です。昨年はこのレースに出走したオルフェーヴルが、見事に三冠達成となりましたね。
カイル(以下カ):アローッハ、カイルっす…('宮')=3また競馬ネタっすか?
シ:いえいえ…今回のネタは、貨物輸送の話ですよ。そもそも、現在みたいに高速道路や自動車専用道が整備される以前、競走馬の輸送は、有蓋(ゆうがい:屋根付き)貨車での移動が普通だったんです。
カ:今は、どの家畜も家畜運搬車で移動できるから、家畜用貨車そのものは、絶滅した様な…
シ:競走馬も含めた家畜の取扱いは、専用の貨車が1977年に全廃したためやっていないそうですが、現在でも、有蓋車での貨物輸送は、紙製品の輸送に限って残っています。
カ:で、なんで競馬と列車による貨物輸送が関係する訳?

シ:今でこそ東西の差は無くなりましたが、かつてトラック(馬運車)輸送が一般化される以前は、貨車での移動だった訳ですが、それが競走馬にとって、相当なストレスであった訳です。
カ:馬運車でも、かなりのストレスで、体力の負担が大きいんじゃない?
シ:今では、海外に遠征する事を考えれば、航空機輸送という手もあるのですが、それでも、最終的には競馬場やトレセンと、休養先、あるいは繋養先の牧場までの輸送は、馬運車を使いますので、日本国内に限って言えば、もっぱら馬運車だけで、北海道から(一部区間フェリー経由で)鹿児島まで移動しますよ。
カ:ちょっと待って、それじゃ、今回のお題から外れるじゃん。
シ:(´審`)bここからが重要。シンザンが三冠を達成した年って、未だ高速道路だけで移動できる程、道路の整備もできていなかった時代。その時と現在のディープインパクトオルフェーヴルの移動方法には、大きな差があるんですよ。
カ:そういえば…確か以前、府中市の周辺に工場が多いのは、鉄道輸送を想定して…って解説したっけ?あれと関係ある訳?
シ:ご名答。東京競馬場も、そもそもは目黒に設置されていたのですが、戦後の様々な事情があって、現在の地…府中市に造られたんです。ここは、国鉄(現:JR東日本)の貨物取扱駅と距離的に近い事もあり、競走馬の輸送に関しては、当時としては絶好の立地条件だった訳です。
カ:なるほど…でも、それって“関東限定”的な話じゃん。京都や阪神は、どう考えてもJRの最寄駅とは接していない様な…
シ:当時は、栗東トレセンもありませんから、競走馬は競馬場で繋養されていた訳です。ですから、鉄道輸送で関西から府中や中山へ移動する事は、相当なハンデを強いられた…って訳です。当然ですが、皐月賞やダービーを制して“あと一冠”となった関東馬も、菊花賞の舞台が淀ですから、その輸送がネックになる訳です。
カ:つまり、トラックなら“ドアtoドア”の移動だけど…あん?でも、鉄道輸送してたんでしょ?
シ:競走馬も含めて、貨車による家畜輸送の場合、貨物駅での待機時間が、実はかなりのストレスなんです。その事が原因で、輸送途中に家畜がバテて死ぬケースが多いんです。
カ:てことは…工エエェェ(´宮`ノ)ノェェエエ工 競走馬の輸送中に死んだケースもあるって事?!
シ:そうです。特にサラブレッドは、かなりの神経質。だから、一般的な家畜用貨車での移動が難しく、しかも途中で機関車交換等の待機は、それだけ狭い空間に閉じ込められた状態ですから、相当なストレスになるんです。
カ:やっぱ、そういう事があったからこそ、高速道の整備って、必要不可欠だった…って事?
シ:一概には言えませんが…“生物運搬”を考えた時、その生物の健康状態を維持する為には、積み替え等での移動負担を軽減させる事が重要であり、それを可能にしたのが、トラック・トレーラーによる陸上輸送となった訳です。また、時間的余裕も生まれますからね。
カ:確かに…それじゃ、鉄道貨物輸送が廃れたのも、ある意味仕方がない部分って事なんだね。
シ:でも、だからと言って、すべての貨物輸送をトラックだけで行おうとすると、去年の東日本大震災でもそうでしたが、主要幹線道路が寸断された時に、物流そのものが止まってしまうのです。
カ:しかも、肝心の燃料が供給されないと、クルマは動かない…あ、だからそれを逆手に取って、JR貨物が、比較的無事だった鉄道網を使って、ガソリンや軽油の輸送をやった訳だ!!
シ:その通りです。
カ:つまり、生鮮食品や家畜といったモノと、鮮度とかには拘らないモノとの“棲み分け”さえできれば、鉄道輸送はまだまだ需要を見込めるって事だね。
シ:エコの観点から見れば、トラックでチマチマ運ぶよりも、鉄道で一気に運ぶ方が、大量輸送には適してます。しかし、時間的な部分…特に鉄道からトラック、あるいはフェリーへの積み替えは、今でこそコンテナ輸送で早くなったとはいえ、相当なロスになります。ですから、急いでいる場合は、一番早く輸送できる手段、逆に慌てる必要のない場合は、確実に届く手段…といった感じで、荷主が輸送方法を選ぶのが、すべてだと思いますよ。
カ:そう考えると…確かに、シンザンって馬は、そういうハンデを乗り越えて三冠を獲った訳っすね。
シ:戦前の話になれば、セントライトもそうなんですけど…ね。