迷馬の隠れ家 はてな本館

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マーティの真面目にプライオリティー 番外編(カイルの危険物マメ知識w)

カイル(以下カ):アロハ・オウェ、カイルっす。
マーティ(以下テ):とも、マーティです。昨日に引き続き、件の福知山での事故を踏まえた上で、今回は、どの家庭にでもある身近な“危険物”に関しての情報を、皆さんにお届けします。
カ:ところで、マーティさんは“危険物”と聞いて、何が思いつきます?
テ:う〜ん、よく聞く言葉だけど、考えてみると、何をもって“危険物”とするか、イマイチわからないね。ただ、今回の本題を踏まえて言えば、石油類や化学薬品、自然発火しやすい金属類等が該当するかな?
カ:いや…ぶっちゃけ論で全部言われても、解説するのが面倒くさいっす。今回は特に、引火性液体…つまり、火気を近付けると爆発したり、燃え上がる危険性がある、揮発油やアルコールを中心に解説していきます。
テ:つまり、ガソリンや軽油、固形燃料が中心って事でいいかな?
カ:ま、そんなトコですね。

テ:今回の事故原因が、長時間の炎天下に、ガソリン携行缶を放置していた事によって、気化したガソリンが開封と同時に吹き出した事によるモノだったんだけど、同じ事で言えば、灯油や軽油でも起き得る訳?
カ:実は、そうでもないんですよ。同じ揮発油といえど、ガソリンと軽油や灯油では、その沸点が違う為、取扱い方法が別なんですよ。わかりやすく言えば、軽油や灯油は、沸点が70℃以上なのでボリ容器でもいいんですが、ガソリンは沸点が20℃以上とあって、金属製の密閉容器でないと、常温ではすぐに揮発して引火しやすくなるんです。ですから、レシプト式ガスエンジンでは、燃料のガソリンと空気を混合させて、ピストンで圧縮した後、プラクから発する火花を使って爆発させてピストンを押し下げる事で、連続的に回転運動を起こしてクルマを動かしてる訳です。ちなみに、ディーゼルエンジンは、軽油の特性を活かして動かすエンジンで、通常では発火しないのに、高圧になると自然発火する現象が軽油にはあって、これを利用してる訳です。小型船舶の発動機や、農機具の殆どがディーデルエンジンを使用してるのは、高価で取扱いが難しいガソリンよりも、常温でも簡単に揮発しない軽油だからこそなんです。また、石油ファンヒーターや石油ストーブでも、灯油を使う最大の理由が、他の物質を腐食せずに保存できる灯油だからこそであって、ガソリンはその揮発性と高カロリーであるが故に、誤って給油すると、重大な事故を引き起こす事になるのです。
テ:そういや、一時あったな。ストーブの灯油が切れたからって言って、携行缶に入ってるガソリンを給油して、ストーブが爆発したって事故…それも、そういう事か。
カ:そうです。だから、セルフ式ガススタンドにおいて、携行缶へのガソリン給油は、消防法や危険物取扱に関する法令によって、禁じられてるんです。また、大型の灯油タンクへの給油も、本来は危険物取扱者乙種第4類の資格保有者の監視下で行わなければならないって訳です。だから、タンクローリーの運転手は、必ず、この資格を持っていないとできないんです。
テ:ちょっと待って、その資格ってなんですか?
カ:消防法に基づいた、可燃性物質全般を取扱う為の資格で、特に、乙種4類…通称“乙4”は、その中でも石油類やアルコールといった、可燃性液体全般を取扱う為の資格で、コレを持っていると、個人でガススタンドを開業させたり、大型タンクローリーで石油製品全般を運送できるんです。ちなみに甲種は、ガソリン以外にも硫黄やマグネシウムニトログリセリン等の可燃・爆発物を取扱ったり、その取引での立会ができる資格で、基本的に、大学等で化学に関する学科を卒業、あるいは化学系15単位以上受講、乙種資格で2年以上ガススタンド等での業務経験、乙種資格4種類取得済みであれば、受験資格を得られる、最高位の資格なんですが…取得が結構難しいんです。ついでに、甲種危険物取扱者資格保有者は、陸上自衛隊の技術二曹への任意資格がついてくるとの事です。
テ:…要するに、軍事における燃料の取扱要員として、採用されやすいって事か。
カ:てか、様々な引火性物質を取扱ってる観点から、そうなってるとの事です。
テ:なるほど…
カ:話があらぬ方に向いたんで、元に戻すと、固形燃料やロウソク、カセットボンベ等も、本来なら、その取扱は、危険物取扱者資格が必要なモノなのですが、そうなってしまうと、誰も使えなくなるから、あくまでメーカーとして、利用者に対して、安全に器具を使用する様に注意喚起と、保管、整備方法を知らせる義務があるんです。これは、アウトドアグッズ…特にガソリンを使うランタンや野外コンロの取説には、キチンと書かれている部分です。もちろん、小型エンジン式発電機も、取扱に関する注意喚起が本体に表示されてます。それを守らずに操作すれば…
テ:…件の事故と同じ事が起きるって事か。
カ:そうです。特にこの時期、カセットコンロでBBQとかを楽しむ方もいらっしゃるかと思いますが、カセットコンロは、その機構上、ボンベ部分を常に空冷状態にしてないといけないんで、コンロを2台以上並べて、上に鉄板を敷いたり、ボンベ部分にまで鉄板を被せるのは、反射熱による爆発を誘発させる事になります。また、木炭コンロや七輪で焼肉をする時でも、ゼリー状の着火剤を火力不足を補う為に継ぎ足す行為は、東近江市であった事故と同様の悲劇を招きます。
テ:そういや、よくある事故だよね、それ。
カ:これも、着火剤がアルコール含有物である事を知らない人が多いからです。炭起こしに使う着火剤は、あくまで炭に火を点ける事が目的であって、そのまま使うと火が点いてるかどうかわからないのです。これは、アルコールの特徴で、燃焼時は“火が見えない”のです。わかりやすく言えば、カクテルバーとかで、ブランデー等のハードリカー(高アルコール飲料)に着火して青い火を見せる演出は、店舗の灯りが薄暗いからこそ目立つのであって、これを直射日光の下でやっても、その炎を見る事ができない…これと一緒なんです。
テ:そういや、インディ500とかのカーレースでの事故で、ドライバーが火傷を負った映像を見るけど、確かにレーシングスーツに着いた火が見えないよね。あれと一緒な訳か。
カ:ぶっちゃけ論で言えば、そうなります。だから、液状、またはゼリー状の着火剤やアルコールを燃焼させてる場合は、確認の為にキッチンペーパーか新聞紙を近付けてワザと燃やしてみるとか、目で判断できる方法で確認してください。また、確実に消火する為にも、水だけではなく、砂や水を含ませた布等で空気を遮断する様にしてください。あと、緊急時なら、水風船を大量に火に向かって投げたり、水鉄砲を使って初期消火を行ってください。最近の水鉄砲(大型タンク形式)は、結構高圧で水を放出できるんで、意外と役に立ちますよ。