迷馬の隠れ家 はてな本館

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“消費者”としての憂鬱、“生産者”としての憂鬱 その3

今回は、原発とガソリンの話w 鹿児島県北部にある、九州電力川内原発が再稼働した事を受け、レギュラーガソリンの価格が若干、値下がっている事にお気づきでしょうか?再稼働以前のセルフ給油での価格は、1Lあたり、奈良県内では平均して、134円程度でしたが、現在では129円で販売してるトコが殆どで、場所(特に幹線国道沿い)によっては、125円で販売してるトコがあります。もちろん、原発が稼働してなくっても、為替レートや産出国での生産量などの変動要因もありますが、他の原発が再稼働を行えば、この価格は95〜100円で推移する可能性があります。これは一体、何を意味してるのでしょうか?
ぶっちゃけ論でいえば、原発稼働率が上がれば上がるほど、その分火力発電用に回す化石燃料…特に石油の使用量が減るため、その分がガソリンや軽油、ジェット燃料に回せると見込めるからです。以前にも解説しましたが、運輸・物流業にとって、トラック輸送や航空・船舶での輸送を行う以上、その“燃料費”は経費削減を行うにしても難しい部分です。まして、その“皺寄せ”として人件費の削減を行えば、却って作業効率が下がるだけでなく、機械による貨物仕分けでの“事故”を避けられなくなります。(取り扱う荷物によっては、ベルトコンベアの搬送時に生じる振動で破損するような、取扱注意物質もあるんでw)そして、機械だけで全ての作業をこなそうとすれば、人件費の代わりに電気代がバカにならなくなります。もちろん、その対策として敷地内にメガソーラーを設置するなどの工夫をすれば、ある程度までは電気代を抑えられるかとは思いますが、太陽光(メガソーラー)発電の欠点は、太陽光の照射時間が不十分な雨天時や、夜間では発電量が無い事です。大型蓄電池でカバー可能だと仰る人も多いかと思いますが、高性能で大容量蓄電できるバッテリーがあっても、経年劣化でその許容量はどんどん減ってきますし、使用済みの充電池は、使っている素材によっては、有毒性があるモノもあります。つまり、自家発電で、しかも自然再生エネルギーで賄えると言えど、その際に出るリスクは、原発ほどではないにしろ、必ず付き纏うモノなのです。当然ですが、電気自動車で輸送を行う場合でも同じです。
同じ理屈で言えば、農家…特に花卉(かき)を取り扱う生産者の場合、品種によっては電気代高騰は死活問題に直結します。奈良県内で該当するのは、平群町や葛城市といった、菊花栽培を行っている農家です。というのは、ハウス栽培を行っている場合、開花調整のために、ハウス内に光源として電灯を付けているためです。つまり、夜間に無理矢理花を咲かせるために、敢えて電灯を付けっぱなしにするのです。今でこそLEDを使って栽培する術もありますが、その初期投資は、通常の電球や蛍光灯を使うより機器が高額である事と、冬場だと、電球から発する熱も生育に必要なため、LEDを使った場合、余計な暖房費を払うハメになります。夏場なら露地でも栽培できますが、冬場の需要…特に仏花として用いる事を考えれば、その維持・管理は本当に“電気の無駄使い”と言われかねないほどシビアになるのです。また、水耕による野菜のハウス栽培も、地下水脈や近隣の河川から水を引くポンプを使う以上は、動力源にもよりますが、電気や化石燃料を非常に消費します。さらに、ハウス栽培のデメリットには、ハウス内のCO2不足があります。“おや?”っと思われた方も多いかと思いますが、完全密閉した温室やビニールハウス内は、作物による光合成の影響で、外気に比べてCO2の濃度が薄くなる事が多く、そのため、換気装置を使って外気を取り込むだけでは間に合わない事も多いため、ハウス内にCO2をボンベなどを使って強制的に追加する必要があります。(変な言い方をすれば、ハウス栽培農家にとって、CO2過多による地球温暖化は、いろんな意味で“大歓迎”だったりするw ハウス農家に“酸素酔い”をする人がいるのも、実はハウス内のCO2不足が原因)植物が成長するのに必要な“栄養素”でもあるため、CO2をハウス内に適度に充填するには、送風機が不可欠です。その動力を電気で賄っている以上、電気代が高騰するのは、町工場以上に影響が出やすいのです。
このように、複合的な事を加味した上で、それでも“原発イラネ”と叫ぶ人は、巡り巡って物価上昇を招いたのは自分である事に気付かなければなりません。先ほどから何度も言ってますが、今の農家は、いろんな意味で電気に依存した栽培方法が主流になってます。その電気代や、代わりの動力として使うエンジン等の燃料費が嵩むと、結果として、耕作を放棄せざる得なくなるのです。高齢者であれば、なおさらの話です。耕作放棄地が増えれば、その分、里山の管理も疎かになり、その結果、去年広島で起きたような、集中豪雨による土砂災害を引き起こす事になるのです。それに、原発を受け入れた地域は、過疎化と雇用の少なさが問題になった地域であり、また、福島や北海道などの場合、相次いで鉱山や炭坑が閉山となった影響による人口流出を、どうにかしなければならなかった事情がありました。就労可能世代(20~50代)の人口が少ないという事は、思う以上の税収を見込めない事を意味します。理想的な“田舎暮らし”や“環境保全活動”を提案するのは良いですが、現実的な部分を言えば、そんな“絵空事”を叫んだところで、何の意味もありません。重要なのは、その“生活”のために、どこでどういう“犠牲”が払われ、それに対する“代償”を、どう請け負うかです。“原発利権”と非難する前に、原発誘致を考える自治体に対し、どれだけの“ふるさと納税”を行えば良いか…あるいは、どれだけの国税を国民全体が負担すべきなのか…そういった事を論じてください。騒ぎたいだけなら、話になりません。