迷馬の隠れ家 はてな本館

旅好き・馬ぐるみゃー・オジアナヲタクな主婦の、雑多なコンテンツですw

Kail's Bar“グランシャリオ” 第七夜

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カイル(以下カ):♪〜だーいーかぞーく20万人、ふーぅるーえーわーれーら〜ぁ…いかにも戦前…というより、昭和初期の勇ましい時代背景に作られた楽曲だなぁw でもそれが、巡り巡って“名曲”として世に残る訳だから、不思議なモノですね。
(カランコロン…)
…っと、ようこそ、グランシャリオへ。
ジャスティ(以下ジ):へぇ…鉄道バーと聞いてたけど、すごい趣味してるなぁw
マーティ(以下テ):だろ。シンと違って、こっちは競馬とか、スポーツ抜きで話できるし、通常と同じだからね。
カ:珍しいですね、マーティが酒場に来るなんて。
テ:酒は苦手だけど、こういうトコは好きだよ。カイル、ボクはカルピスソーダでいいよ。
ジ:それじゃ僕は…ジントニックビーフィーターで。
カ:かしこまりました…あ、カルピスの濃度は濃い目がいいですか?
テ:ボクは薄い方が好きなんで、若干薄めで。
カ:はいはいw
ジ:それにしても…癌で亡くなる人が後を絶えないのが悔しいね。
テ:おいおい…そういう話をすると、ボクなんかどうなるよ?覚悟してたけど、それでも諦めきれずに…
ジ:いや、言いたい事はわかります。僕も他人の事言えた義理じゃないですし…でも、悔しいですよ、僕の治療データが、何の役に立たないのが。
テ:それは違う!! キミの場合、ボクのデータがあったからこそ、本来の余命を引き伸ばせたんだよ。データが役に立つかどうかは、ボクら自身ではわからない…けど、確実にそれは誰かの為にはなっている。そう信じてあげる事が、ボクらが残した全てだよ。ボクは、シンちゃんの時にマスターが号泣して居た堪れない気持ちになったよ…でも、シンちゃんが…いや、シンちゃんの“生前さん”が最後まで諦めなかった事、そして、ボクみたいに中途半端な覚悟ではなく、最期まで自分の使命に尽力した姿は、キミ自身の生き様にも、直接でなくても、なんらかの影響を与えてたハズだよ。でなかったら、ここに居られる訳がないでしょ?
ジ:でも…
テ:あのね…ボクやシンちゃんは、還暦どころか、50歳に達しないまま、“こっち”の世界の住人になったの。まぁ…カイルやヒデボーの場合はともかく、還暦過ぎてなら、ボクは充分だと思うよ。むしろ、孫の顔を見ずに、それどころか、自分の息子や娘の晴れ姿を見送ってやる事もないまま、“こっち”に来た事が、どれだけ悔しくて、辛くて…単純に長生きする事よりも、どれだけ悔いを残さずに、そして満足できる人生で終わりたかったか。その方が悔しいよ。
ジ:…僕、間違ってました。単に罹患した事やそれのデータがどうとか…そんなの、どうでもいい事なんですね。自分が不幸だと嘆く事を避けようとしても、結局は一緒なんですね…
テ:悔しいのは悔しいよ…でもね、ボクにしろ、キミにしろ、たくさんのファンが今でも、ボクらの事を忘れず、ずっと語ってくれる事実がある。それがある限り、ボクらは“消えない”よ…マスターはその“誓い”を守る為に、折に触れて、ボクらの事を話すんだよ。どんな形式であっても、“不忘”の請願を守ると言ってくれるから、ボクらはWeb上で、様々な人と会話をする事ができるし、意見を述べる事もできる…たとえそれが、単にマスターの勝手な想像であっても、代弁には変わりないよ。あとは、受け手自身がそれを信じてくれるかどうか…でも、そんなのはボク自身、どうでもいいんだ。むしろ、喋れる時間を設けてくれるマスターこそ、そして、マスターと同じように、なんらかのカタチで、ボクらと一緒に生きていく事を誓ってくれる存在こそが、ボクらにとって貴重な存在なんだよ。
カ:それって…ボクにも言える事ですか?
テ:そうだよ…って、カイル?!
ジ:…ごめん、カイル。そうだった…僕の場合はまだ、見送ってくれる家族や親友がいた。だけどカイルは…そうだよね、自分の我儘に負けて、多くの人々に迷惑かけて…だけど、それは、本当の意味で一人ぼっちだったから、解り合える存在が欲しくてやった事だよね。だったら、辛かったよね…ごめん、こんな事しか言えなくて、本当に辛い思いをしてるのは、みんな同じなんだ。感覚や体験が違うだけで、みんな苦しんでいるんだ…辛くて、悲しくて、寂しくて…
カ:良いんです…もう、済んだ事ですし…ともかく、今宵の一杯…(グスン…)リンゴリキュールとオレンジキュラソーに、リンゴジュースとフレッシュなレモンジュースを一緒にシェイクした、ゴールデンアップルです。あ、マーティさんのは単なるミックスジュースですが…
テ:そこまで気にしなくて良いよ。でも、ま…いただくよ。
ジ:僕より若い世代の人が、病で死ぬのは心が痛いよ…でも、その人生まで薄幸とは限らない…精一杯生きた証が、なんらかのカタチで残る限りは幸せなんだね。








(数時間後…)
カ:さて、そろそろ“店じまい”して、シンと合流しますか。今年の総括は明日、ブロマガの“Shin’s Bar”で行います…さて、向こうはどんな話をしてたのかなぁ…