どんな事があっても…We Love ラジオ関西!!

いよいよ、“我等ラジ関ジェネレーション月間”最終週でございます。今回は今までのネタの総括と、“あの”阪神淡路大震災から始まった苦悩と復興の“戦い”を、オイラなりの視点で綴っておく事にします。開局当時から郵政省とバトり、TVやFMラジオへの移行を断たれ、AMラジオ単営局故に知恵と工夫でなんとか積み重ねた歴史に付けられた“被災放送局”という影…。様々な思いを胸に、新たなる歴史を歩まんとするCRKに敬意をもって、この企画の締めくくりにしたいと思います。(今回の“フェイスプレート”は最後の生え抜き男性社員、林真一郎アナです。)

今から10年前の１月17日。“あの時”が来るまで、いつもと同じプログラムでこの日の放送スタートをしていた。しかし、全ては“あの時”を境に一変した。午前５時46分、突然激しい揺れがCRKが入った公団住宅のある神戸の街を襲った。そして不本意な停波…放送電波が止まる事…14分後の午前６時、時報とともに復旧するものの、この言葉とともにCRKの長く苦しい日々が始まった。『只今の地震で、スタジオが壊れました…』
放送スタジオと公団住宅という“ミスマッチ”とも言える特殊な構造の建物だった為、住居区分はともかく、その重みと繰り返し起こる余震の影響で、CRKの本社は罹災届上“全壊”と診断され、長年住み慣れた須磨の地を離れなる事になった。とりあえず新スタジオが現在のハーバーランドに作られるまでの間、仮設スタジオとして隣にあった“レストインスマ”の駐車場にプレハブ小屋を建て、幸い無事だった中継用機材で急場を凌いだ。ポップカー(ラジオ中継車)を神戸市内に走らせ、取材しながら交通手段をなくした社員を拾い上げた。そしてリクエスト用の電話回線が無事だったのを受けて、リスナー達の安否情報の窓口として解放した。
ただ不幸中の幸いは、その３ヶ月前に明石海峡大橋の影響による電波障害を避ける為に移転した送信所が、軽微な被害だけで済んで、旧来の送信所のアンテナを既に撤去していたため、二次的被害が周辺住民に降り掛かる事が無かった事と、摩耶山の中継基地局が無事だった事、そして送信所とスタジオのマスターを繋ぐメインケーブルが切れていなかった事が、早期の復旧と仮設スタジオでの放送続行を可能にした。だが、日本一を誇ったレコード室の貴重な音源が一部、この震災による被害で消失する事となった。
開局当時はまだ住宅開発される前で、穏やかな瀬戸内の海を臨む広いスタジオだった。開局時には右端だったダイヤルの周波数を翌年、当時の郵政省に何度も懇願して現行の左端に変更させた。TV放送に必要な免許が単独で下りず、ラジオ単営局として社名変更(神戸放送→ラジオ関西)もした。都市住宅供給公団からの提案で保有していた土地の一部を提供し、その見返りとして公団住宅の一部に本社スタジオと事務所を併設してもらった。KBS京都と阪急・産經新聞社と共同でKTVを開局させた時に、多くの人材を派遣させた。(この時、殆どの社員がKTV社員に鞍替えしたが…。)民放初のプロ野球中継に、まだ学生だった松本アナを起用して話題をさらった事もあった。電リクで一世風靡し、エース級のアナとして期待された奥田アナが退社する騒ぎもあった。上海の放送局と友好関係を結び、共同製作した番組を放送する事もあった。巨人戦中継を巡って、NRNからの脱退も余儀なく喰らった事もあった。経営難に喘いだ時にMBSから競馬中継を受け入れ、なんとか経営を持ち直そうとした。
1994年、そんなこんなの思いを、期間限定で表現しようとリスナーに呼びかけ“愛称”を募集した結果、“AM神戸”という名前が決定し、略称も“AMK”と改めた。しかしこの名称が、のちに震災で傷付いた神戸の人々を勇気づける存在になるとは、命名した時には考えもよらなかった。そして今年、再び“ラジオ関西”という名称に、ステーションジングルもかつての“海の見える放送局”に戻した。そして、略称名にコールサインである“JOCR”の一部と“神戸”or“関西”の意味として“K”を付けて、“CRK”にした。
あの震災から10年、それはこの神戸の小さなラジオ局が、もう一度原点であるリスナーとともに歩む道を選んだ時間でもあった。もうすぐ、開局して53回目の春がやって来る。そして、それは満点の桜吹雪き舞う開局当時と同じ気持ちで、新たなる歴史を刻む一日となる。(そして、いつの日か須磨の地へ…。)

ホンマ毎回×２、まとまりの無い文章でスンマセン。そして最後まで付き合ってくれたラジオ関西ファンの管理人および住人の方々、ならびにラジメニアンに、心よりお礼と数々の無礼に謝罪しつつ、今回の企画“我等ラジ関ジェネレーション月間”をひとまず、終了させていただきます。(ま、気が向けばまた、CRKネタを取り上げますが…)ありがとうございました。
m(__)m