迷馬の隠れ家 はてな本館

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“あの”震災からの教訓

昨日の一部夕刊等でご存じの方もおられるでしょうが、この9月1日付けで、CRKOBCラジオ大阪WBS和歌山放送が甚大災害時における放送に関する協定を結びました。これは近い将来訪れるかもしれない東・南海沖地震によって、お互いの放送局がスタジオや送信所等に重大な被害が出て、放送続行が不能になった時、それぞれ無事だった放送局の機材を使い、被災放送局スタッフによって該当地域に関する情報を発信するという協定で、全国の民放ラジオ局では初めての“災害時を想定した協定”だそうです。できれば近い将来、KBS京都放送やJRT四国放送等、瀬戸内地域に放送エリアを持つラジオ局同士でカバーしあう為の協定にしたいとの事です。

この発想の裏には、恐らく10年前にCRKの経験した、阪神・淡路大震災での“教訓”があるものと思われます。以前、“我等ラジ関ジェネレーション”でも書いた様に、CRKはあの震災で須磨にあったスタジオが全壊し、ハーバーランドに新社屋が完成するまでのおよそ2年間、プレハブ小屋の仮設社屋で事務処理をし、仮設のスタジオでターンテーブルを回すという悪条件の中で放送をやり続けました。あれから10年が経ちましたが、今でも多くのレコードやCDは、須磨の旧本社レコード倉庫に取り残されたままです。また、貴重な放送記録等の書類も、この震災でグジャグジャになり、殆どを放棄せざる得ませんでした。この事を考えると、他の放送局もCRKみたいに被災した後、復旧までに苦労する可能性があるのです。
だから、エリア内の放送局同士で提携を結び、どっかが震災で放送続行ができなくなっても、無事だった提携局が被災局スタッフを一時的に受け入れて、情報を発信する術を保持しようという訳です。また、緊急時のバックアップとして、提携局同士がデータを共有する事によって、災害で最悪な状況になっても復旧までの間、その代行業務をそれぞれの放送局で分担できるという訳です。
考えてみればそうなんですが、NHKが災害に強いのは、この放送局の使命でもある、“全ての国民に対して正確な情報を伝達する”という概念で作られた“公共放送局”だからです。ゆえに、東京本局以外にも各地方に基幹放送支局があり、その地方の都道府県レベルでの放送子局が存在し、それらが連携して放送していく訳です。ゆえに、同じNHKの地方放送局であっても、独自で放送番組を作る事が可能な局と、災害時用のスタジオのみの放送局に分類されるのです。(最近では、東京以外の地方局は、ニューススタジオ以外設置していない放送局になりつつありますが…。)
それに対して民放ラジオ&TV局は、新聞社毎(大概は大手新聞社の系列毎で放送局が分類される)のネットとかはあるものの、普段は“ライバル”としてお互いが視聴率等を争う状況ですから、災害時には非常に弱い部分があります。事実、あの震災でも大挙として東京の放送局スタッフが応援には来てくれましたが、かえって地元放送局の取材を邪魔していた様な気がします。確かに、スクープを撮って、視聴率を争いたいのは解りますが、肝心な有益情報が欲しい被災者にとっては迷惑な話であり、善意で行動しようと思った多くの視聴者にも混乱が生じるだけで、かえって迷惑な話です。だからこそ、CRKは自分達が経験した“教訓”を基に、他の“災害発生時にCRKが体験した状況になりかねない”放送局に協定を申し入れたのでしょう。