迷馬の隠れ家 はてな本館

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放送局は、なぜプロ野球中継を手放さないのか?

“Radio Mukaiya”での常連さんである、とダたケし(@mierafm)さんと、ちょっちTwitterで話し込んでいるんだが、日本シリーズ中継を、中波ラジオが全局でやっている事にご立腹な様子である。とはいえ、当方は関西在住なんで、FM3局やCRKOBCといった、敢えてこの時間に日シリ中継をやらずに通常のオフ放送(野球中継をしない)に徹してくれているラジオ局があるから、まだ選択の余地があるのだが、先方はまさに、その余地がない分、強制的に“聞かされている”といった状況の様です。では、なぜラジオの放送局…特に中波(AM)ラジオでは、一部を除いてここまでプロ野球中継に固執するのでしょうか?そこには、ラジオ故の“台所事情”と、地方故の“地元企業からの反発”というジレンマが見え隠れしているのです。

東国原前宮崎県知事は、選挙公約に“宮崎にテレビ局を増やそう”という考えを掲げていました。しかし、たった4年では実現する事もなく、まして、口蹄疫鳥インフルエンザが蔓延した責任を取る格好で、知事職を退きました。ここに、“地方故の苦難”というのがありまして、大手企業や先端技術の大規模な研究施設、更には原発や米軍基地の誘致といった、他では嫌われる“負の遺産”を抱えている自治体の場合、それ相応の財源が国や企業から振り込まれる為、ある程度生活に潤いがあり、それ故に広告を打ったとしても、その反響は非常に効率的で、分相応の効果が上がります。しかし、なまじ農林水産業がメイン産業であったり、人口そのものが少ない自治体では、その市場は非常に狭く、大々的な広告を打ち出しても、それに似合うだけの効果は期待できません。つまり、広告媒体としての放送局が多いと、広告を打つ企業に取っては、その分の広告料がバカになりません。したがって、放送局が増える事は、イコール、大手はもとより、地方の企業のとっても負担が増えるだけで、現在の経済状況下では、広告費用が嵩んで倒産…という憂き目に遭いかねない訳です。まして、自治体も、破格の税優遇で大手企業の工場誘致や雇用促進に躍起になっていますが、海外…特に東南アジアに比べても賃金面から言って、低価格での商品提供に関していえば、日本で作るよりも…となるのは当然。(ま、その罰が当たって…ゲフンガフン…)
また、NHKや一部のCS放送と違って、宣伝広告料がメインの収入である民放の場合、放送局で流す広告料と時間が限られている(放送法に基づく規制…とはいえ、番組そのものが“広告”になってる番組があるのは、その規制の網を逆に利用した“戦略”といっても過言じゃないw)関係上、収益そのものを増やすには、必然的に広告料の“値上げ”が問題となる。つまり、広告料を最初から高値で取引してても、視聴率(ラジオなら聴取率)が1桁が続く様だと、たとえゴールデンタイム(19時〜21時)の番組であっても、ヘタすりゃ有事報道でもないのにコレばっか(=一切の広告スポンサーなし)になる訳である。(もちろん、スポンサーの不祥事や様々な事情でこうなる場合もちょいちょいあるがw)
TBSの財政問題も、基本的に、メインであるハズの放送収入が落ち込んだ上に、バブル期の財テクが影を潜めていて、更に、現在の地に無理矢理新社屋を造った事も影響が出ている。(冷静に考えると解るが、赤坂の一等地にアレだけの敷地と建物があること自体、固定資産税が…)KBS京都の経営問題と同じ様な事は、殆どの放送局が抱えている部分。特に地方局の場合、スポンサーを募るにしても、地元企業そのものが少ない上に、それを賄えるのがパチンコやスロットといった違法ギャンブル…もとい、大手レジャー企業に限られる訳で、そうなってくると、番組制作と並行して新規スポンサー探しと、低価格ギャラで引き受けてくれるタレントを起用せざる得ない。しかし、それがわかってても、視聴率が悪いと…というジレンマが、結果として、東京や自前でなんとか番組を作れる放送局から番組を“買って”それに地域スポンサーをつける方法で稼ぐしかなくなる訳である。そうなると、一番制作コストが掛からず、しかも視聴率が良いとなれば、スポーツ中継…特に通年でやっているプロスポーツ系になる訳である。で、そこに目を付けて、いわゆる“トラキチ御用達”放送局になったのがサンテレビであり、それでも諸般の事情でABCに技術協力を依頼してる訳であり、場合によってはTVOプロ野球中継の“兵庫県向けサイマル放送”をやる事も。つまり、時間制限無しで広告を、より多くのスポンサーにやってもらおうとすれば、そうせざる得なかったのが背景にあり、競馬中継に関しても、KTVKBS京都ラジオNIKKEI等が手放さないのは、放送する度にJRA助成金を支払ってくれるという事情があるからである。(ま、ラジオNIKKEIにとっては、コレが一番の収入源であり、中央競馬の廃止は、倒産する危険性もあるって事なんだが…)
ラジオでもテレビでも、放送局ではなく、タレントや企業の“自腹”で番組制作と放送電波使用料を賄ってくれる場合、その分の制作費やギャラが浮く為、深夜の番組には、そういった“持ち込み番組”で構成する放送局もある。(特にCRKの場合、レコード会社や芸能事務所が契約の下で、30分程度の番組を自由に流せる枠があったりするw)が、それが契約の途中でスタジオ等の使用料が支払えなくなったり、放送局自身の経営がダメになって(あ、決してKiss-FMみたいな内紛が…ってのじゃなくてw)放送を打ち切った場合、その穴埋めを、自社の番組でやらなければならなくなる。そうなると、そのリクスが高いなら…って事で、東京のネットもの、特に日本シリーズや国際試合のサッカー等で埋めた方が早い訳であり、そういうのばかりやっている事が、却って多くのファン(視聴者)を減らしているんだって事に、放送局自身が気付いていない。まだ、スポーツ実況に定評があって、誰にでも聞き易い放送なら誰も文句は言わない。が、昨今のスポーツ実況アナは、勘違いしてる人が多過ぎる。ま、そこんトコの話は、またの機会にするとして、簡単に言ってしまえば、放送業界も不況に喘いでいる結果、地域の、あるいは放送局そのものの“個性”を見失ってしまったという事である。こればっかりは、寂しいばかりですね…